ビッグデータやチャットボット...韓国・流通業界のICTサービス競争激化

ロボティア編集部2016年10月11日(火曜日)

 韓国・流通業界で情報通信技術(ICT)基盤の顧客サービス競争が激化している。インターネットでのオンラインショッピングの普及によって、手軽さはもちろん、顧客の利便性向上に特化したサービス技術が求められるためだ。流通業界はチャットボットやビックデータ、検索エンジンなど、差別化されたICTサービスで顧客集めに総力をあげている。

 なかでも、韓国はGマーケットや11番街、インターパークなど、たくさんの通販会社があり、店舗で買うよりも明らかに値段が安いことがほとんどで、通販を利用する割合が高いと言える。

 韓国の格安通販サイト「クーパン」は年内にもファッションカテゴリーに、新しい詳細検索フィルターを追加する方針だ。今後、スタイルや色、大きさ、素材など具体的条件で、製品を検索が可能になる。ファッション製品の特性を綿密にビックデータ化し、顧客が希望する商品を迅速に提供する環境を実現する計画だ。

 クーパンはすでに即日配達だけでなく、会社の従業員である「クーパンマン」が、顧客に直接サービスを提供する「ロケット配送」のほか、簡便決済システムである「ロケットペイ」、顧客にあった商品をおすすめするサービス「アイテムマーケット」など、さまざまな試みを行っている。そしてついに昨年には、国内Eコマース業者(インターネットを使った電子商取引業者)のなかで初めて売上1兆ウォン(約920億円)を突破した。

 一方で、大手通販サイトのインターパークはチャットボットサービス「トーク執事」を導入。こちらは同サイトが運営する玩具専門サイト「アイトイズ(itoys)」が開発した「執事サービス」に人工知能(AI)技術を融合させ、ショッピング専用に改善したもの。

 顧客の問い合わせを通じて蓄積されたビックデータに基づき、商品の最低価格やクーポンの提供などを自動回答する。また望むデザインや最低価格商品を自動で検索・提供してくれる機能もあるため、ショッピング時間を大幅に減らすことができる。

 もちろんオペレーターによる問い合わせも可能だ。より専門的な相談が必要な場合には、専門アドバイザーが回答するハイブリッドシステムを採用している。現在までトーク執事は、1日平均一万5000件に上る顧客の問い合わせを受けているという。トーク執事によって流入した顧客の購買率は、その他の顧客より二倍以上高いとの統計もある。

 インターパークショッピングの関係者は「トーク執事は顧客サービスよりも、購買満足度を高めることが目的であり、当該技術をさらに高度化すれば、それぞれの顧客に対する、『オーダーメイド型商品提案サービス』も実現することができるだろう」と展望している。

 また、ディスカウントストア大手・eマートも、全国のオフライン店舗を対象にICT基盤サービスを数多く導入している。今年5月には、モバイルアプリを基盤にした商品情報およびスキャン配送サービスを始め、オンライン・オフライン(O2O)連携サービスで競争力を高めつつある。また最近では、カカオ(メッセンジャーアプリ・カカオトークなどを運営)が展開するモバイルナビゲーション「カカオナビ」と連動した、位置基盤のショッピングサービスを開始した。これはカカオナビのユーザーが周辺のeマートを目的地に設定して到着すると、割引クーポンをもらえるというもの。 結果、これまでに5万人が割引クーポンを受け取ったことが分かっており、クーポン利用率は35%水準と集計されている。eマートは今後も、祝日や大型連休に向けたサービスを追加する方針だ。

 日本でも近年、セブン&アイ、イオンといった流通業の主要企業がネットスーパー事業に本腰を入れ始め、インターネットで受注した商品を顧客に届けるネットスーパーが、徐々に普及しつつある。このような動きにより、今後はネットショッピングがより日常的な買い物となり、利用者層も次第に広がっていくはずだ。既にある実店舗とネットショッピングを、ICT技術でいかに連携させていくか。画期的なアイディアやサービスが期待される。