自動車担保型も出現!韓国でP2Pファイナンス急拡大…融資額10倍に

ロボティア編集部2016年11月24日(木曜日)

 昨今、急成長を見せているP2Pファイナンス。韓国ではさまざまな分野まで活用範囲が広がっている。P2P(Peer to Peer、個人間取引)とは、金融会社を通さずに、インターネットサイトで行われる個人間の直接的な金融取引を意味する。

 仲介業者、賃貸料、人件費などが比較的少ないため、従来の銀行や貸付会社などに比べて金利が低く、投資者の立場から見ると、銀行の金利よりはるかに高い収益率を期待できるという点で、新たな投資先として浮上している。

 韓国関連業界のデータによると、2014年末から本格的に導入され始めたP2Pファイナンスは、今年に入って10月までの累積融資額はおよそ4032億ウォン(約378億5680万円)にものぼるという。 これは昨年の406億ウォン(約38億1190万円)と比較して9.9倍に成長した数値だ。

 同様に、月平均取扱額も増加している。今年の第1四半期は165億ウォン(約15億4900万円)、第2四半期は347億ウォン(約32億5800万円)、そして第3四半期は626億ウォン(約58億7750万円)と、年内だけでも倍にもなる成長を見せている。のみならず、従来の個人信用取引や、不動産担保融資で保険サービス、中古車取引事業などといった収益底辺が拡大しているように、近年その分野は多様化している。

 韓国の保険フィンテック専門スタートアップであるドゥリは、韓国内で初となるP2P保険「タタイッソン(多多益善)」をリリースした。「多多益善」は同じ保険を求める消費者同士でグループを形成し、一定数以上の契約者がそろうと保障内容や価格を保険会社に直接交渉し、最も優遇の良い保険商品に加入できるようサポートするサービス。このような「アドバイザーサービス」はすでに多くの企業が展開している。

 ドゥリ社によると、既存の保険代理店と保険フィンテック企業は、一定価格の保険を集中して推奨する一方、こちらの「多多益善」では保険会社との交渉時において非常に有利だとか。なぜならば、各々が個人で契約するよりもグループとなってまとまった「購買力」を示すことで、保険会社が消費者のために、価格や契約内容の面で、より好条件なものを提案するためだという。

 同社ではまず、「ペット保険」を最初の保険グループとしてメンバー募集を行った。 今後も携帯電話保険や、旅行者の短期保険はもちろん、自動車保険など、あらゆる保険商品の領域を拡大してサービスを提供する予定だ。

 また、同じくスタートアップであるブリッジファウンディング(BridgeFunding)は、韓国初の自動車専門P2Pプラットフォームを掲げ、投資者たちの注目を集めている。

 同社では個人の信用問題などを始め、さまざまなファクターを分析している。これを通じて債務履行の要件を備えた対象を厳しく選び抜き、担保物(自動車)に対する抵当権を設定することによって、投資者のリスクを減らすことができるというのが特徴だ。

 さらには、韓国の財閥グループであるアジュ(亜州)グループもP2Pに特化した中古車事業に乗り出す。アジュグループは最近、グループ未来戦略室傘下に社内スタートアップ
企業の「NEST」を設立した。 NESTは消費者間の中古車取引を連結してくれる「個人間の中古車の直取引プラットフォーム」で「最高値で売り、最安値で買う」ことをモットーとしている。

 NESTは、今月から3ヵ月間市場調査・事業計画樹立・事業妥当性調査などを進め、事業化が最終決定される場合、社内ベンチャーとスタートアップの性格を備えた独立法人として分社される予定だ。

 いまやP2P市場に対する顧客の接近を高めるため、一般人でも手軽に経験できるP2P投資も新たに導入されている。P2Pファイナンス業界の関係者は「P2Pの金融市場は急速に成長しているが、まだP2Pになかなか馴染めない方が多い。さまざまな分野進出を通じてP2Pファイナンスの活用範囲が拡大することで、P2Pサービスに親しみを感じ、生活に定着していくことに期待している」と話している。

Photo by 多多益善