韓国でつくられたアンドロイドロボット「エバー」が、アラブ首長国連邦の関税庁に供給される。同ロボットは、韓国生産技術研究院が開発したものだ。
今回、イサンソリューションのジョン・ウォンミン代表は、生産技術研究院、アミクスなどとともにドバイを訪問し、ドバイ税関庁とエバーの供給に関する協議を終えたと明かした。エバーは税関の女性スタッフの代わりに、出入国事務所に配置される。出入国の検査時に、警報が鳴った対象者をX線が設置された通過台に案内する予定だ。
エバーは、生産技術研究院ロボットグループのイ・ドンウク氏が中心となって開発したアンドロイドロボット。「エバー(EveR)」という名称は、「イブ(Eve)」と「ロボット(Robot)」の合成語だ。
エバーの重量は50kgで、身長は167cm。顔に30、上半身に15、下半身に6つ計51の関節を持つ。喜びや、悲しみ、驚きなど12種類以上の感情表現が可能で、視線を合わせたり、自律的な行動も行う。これは、自然な会話を促すために実装された機能だ。また、合成された音声に同期して、唇も自然に動く(リップシンク)。イサンソリューション、フューチャーロボット、ショーテックラインなど、韓国ロボット企業の要素技術が使われている。
なお、関税にロボットを導入する同プロジェクトは、「ドバイイノベーション2020」の一環として行われたもの。今後2年間で、韓国生産技術研究院、韓国ロボットメーカー、ドバイ税関、台湾のビジョンシステムメーカーが共同で、アラブ首長国連邦用のエバーを開発・供給する計画だ。開発が完了次第、アラブ首長国連邦の空港全域に50台ほど納品される予定となっている。
アラブ首長国連邦のなかでもドバイは特に、ロボットなど先端テクノロジーに熱心に投資する意向を示している。きたる2017年末には、“ロボット&ドローン五輪”=「ワールド・フューチャー・スポーツゲームズ(World Future Sports Games)」も開催するとしている。これは、ロボティクス分野におけるスポーツエンターテイメントを盛り上げることで、自国のイノベーションに力を注いでいく方針だと考えられる。
一方、韓国企業群は中東への売り込み=セールスに強みを持つ。過去には建設などの分野で大規模な進出を果たしてきた。今後、ロボティクス分野における進出も進むのだろうか。去就に注目したい。
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photo by 韓国生産技術研究院