2017年12月28~30日、アラブ首長国連邦(以下、UAE)・ドバイでロボットおよびドローンの“オリンピック”が開催されるという話題が浮上している。UAE副大統領兼首相、ドバイ首長である“シャイフ”・ムハンマド・ビン・ラーシド・アル・マクトゥーム殿下(以下、シェイク・モハメド氏)は、ロボットスポーツの世界的祭典「ワールド・フューチャー・スポーツゲームズ(World Future Sports Games)」を開催すると明らかにした。
「“The UAE Drones for Good Award”と“UAE AI and Robotics Award for Good”といグローバルプラットフォームの構築の成功により、我々は未来へ行進するためのユニークな第一歩を踏み出した(中略)過去2年間、それらのプラットフォームは、世界中で数千人にもおよぶ個人・チームを惹きつけた。結果、グローバル水準の技術革新分野におけるUAEの地位を強化した。(中略)スポーツにおけるイノベーションは、UAEのイノベーションシステムを構築し、そのビジョンと実力を世界水準に強化するために重要な部分となる」(シェイク・モハメド氏)
ワールド・フューチャー・スポーツゲームズ開催は、去る3月10~11日にドバイで開催されたドローンレース世界大会「WORLD DRONE PRIX IN DUBAI」から時を待たずして宣言された。
同ドローンレース大会には、世界中から100以上のチームが参加し熾烈な競争を繰り広げた。最終的に、英国の15歳の少年ルーク・バニスター(Luke Bannister)君が25万ドルの賞金を獲得している。なお、大会賞金総額は1億円。ワールド・フューチャー・スポーツゲームズの賞金は、さらに大きくなると予想されている。
ドバイではドローンレースの他にも、「ロボットラクダレース」など、すでに様々なイベントが過去に行われている。今後も、ロボティクス分野におけるスポーツエンターテイメントをより一層盛り上げることで、自国のイノベーションに力を注いでいく方針なのかもしれない。
一方、スイスでは今年下半期に、最新のロボットをまとった身体障害者「バイオニックアスリート」たちによるスポーツの祭典「サイバスロン(Cybathlon)」が開催される。主催はスイス国立コンピテンスセンターロボティクス研究所(Swiss National Competence Centre of Research in Robotics=NCCR Robotics)だ。動力付き人工膝、着脱可能な人工腕、強化外骨格、電動車椅子、筋肉電気刺激装置、最新型ブレイン・コンピューター・インタフェース(BCI)などを使った、さまざまな競技が用意されているという。
ワールド・フューチャー・スポーツゲームズでは水泳、陸上、格闘、レース、卓球、サッカー、ドローンレースなど、さまざまな種目で、ロボットやドローンの性能が競われる予定だ。もし最初の大会が成功すれば、2年ごとの開催が視野に入れられている。ロボット×スポーツという枠組みは、今年を境に、世界中で一気に市民権を得るのだろうか。各国の試みを注視したい。