史上最大規模だったCES2017...話題集めたホームロボットと自動運転車

ロボティア編集部2017年1月13日(金曜日)

 今月5日から8日までアメリカのラスベガスで開催された国際家電見本市「CES 2017」。いまや世界最大のトレードショーであり、北米最大規模といわれるアメリカの国際家電ショーである。

 今年で50周年を迎えたCESは150か国余りから3800社以上の企業が参加し、観覧客も17万人に迫るなど、史上最大規模で行われた。イベントでは、IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)、自動走行車などが話題を集めた。

 特に、今回は主要3会場のうちの一つを自動車関連の展示が占めた。トヨタ自動車をはじめ、ホンダ、ベンツ、BMW、フォルクスワーゲン、フォード、現代・起亜(ヒュンダイ・キア)、フィアット・クライスラーなど全世界から数々の自動車メーカーがブースを設け、最新の自動走行技術を公開し、「ラスベガス・モーターショー」とまで呼ばれた。

ホンダ_NeuV
ホンダ「NeuV」 photo by honda.co.jp

 ホンダは、人工知能(AI)を搭載したEVコミューターのコンセプトカー「ニューヴィー(NeuV)」を公開した。こちらは、自動運転機能を備えるとともに、機械自らの感情を擬似的に生成する機能を有するAI技術「感情エンジン」(ソフトバンクグループ傘下のcocoro SBが開発)を搭載した。また、ASIMO(アシモ)に代表されるヒューマノイドロボット研究で培った独自のバランス制御技術を二輪車に応用した「Honda RidingAssist」を初公開した。こちらはバイク自体がバランスを保つことで、低速走行時や停止時のふらつき、取り回しの際の転倒リスクを軽減するというもの。

 また、ヒュンダイは会議場のブースでVR(仮想現実)技術を通じて自動走行仮想運転プログラムを披露した。その上、運転者を自動車と連結する健康関連ソリューションも併せて公開した。

Faraday Future car_FF91
FF91  photo by ff.com

 その他にも電気自動車メーカーファラデー・フューチャー(FaradayFuture)は、CES 2017開幕前のプレス向け発表会にて、初の市販モデルとなるSUV型EV「FF91」を発表するなど、世界の自動車メーカー各社が競うように自動走行技術を披露した。

 一方で昨年、競争が激化した音声アシスタントサービス搭載型のホームロボットも数多く見受けられた。 アマゾンの「アレクサ(Alexa)」を皮切りに、韓国LG電子の「ハブロボット(LG HUB ROBOT)」やドイツの自動車部品・工具メーカー「ロバート・ボッシュ」が出資したベンチャー企業であるメイフィールド・ロボティクス(Mayfield Robotics)の「クリ(Kuri)」、英国スタートアップ企業イモテック(Emotech)の「オリ(Olly)」、パナソニックの「エッグ(Robot Egg)」などが代表的だ。

 LG電子のハブロボットは家電や照明などを制御するAI秘書サービス機能を搭載している。 話しかけると、LCDディスプレーとなっている「顔」でさまざまな表情を見せる。 このほかにもLG電子は、空港案内ロボット、空港の掃除ロボット、芝削り機ロボットなどを公開した。 次いで公開されたメイフィールドの「クリ」は最先端の家庭用ロボットだ。限られたことなら確実にこなせるように設計されており、他のロボットにはない人格が魅力だという。

 身長約50cmのクリは、音楽を流したり、家のどこからでもスマート機器を操作したりできる。また、家の中の様子を映し出して監視することもできるのだとか。また、パナソニックの「エッグ」は初公開されたコミュニケーションロボットである。 卵のように丸い形をしており、蓋部分が開かれて作動する。 自然言語処理技術を搭載し、Wi-fiによってネットワークに接続して情報を検索する。

 また、内部に8Mピクセルカメラとプロジェクターを内蔵しており、プロジェクターを通じて映画を見ることも可能だ。パナソニック側は、「自然言語生成技術を利用し、滑らかで親しみのある会話を実現するだけではなく、クラウドの活用や、遠隔地とのコミュニケーションも可能だ」とコメントしている。

 CESでホームロボットを紹介した企業は、今年中に販売を開始する方針を明らかにした。 AIを活用したロボットは最先端のディープラーニングを中心とした分散型機械学習の技術を備えている。 そのため、関連会社は製品をなるべく早く発売してユーザーデータを確保したい狙いがある。出展を通じて各社はそれぞれに、人工知能を使った次世代技術の方向性を打ち出しており、市場競争はより激しさを増すばかりだ。