韓国の次期大統領候補の一角イ・ジェミョン城南市長は18日、ベーシックインカム構想と関連して「ライフサイクル別、特殊な階層に支給する基本的な所得100万ウォンと、国土保有税を新設して国民に返す30万ウォンを合わせれば、年間1人当たり130万ウォン(約13万円)を支給することができる」と発言した。
イ市長は同日、城南市の産業振興財団が主催した「板橋テクノバレー、ベーシックインカムを語るトークコンサート」(会場:板橋テクノバレー試合創造経済イノベーションセンター)で「ベーシックインカムは、もはや弱者を救済するための福祉的な概念ではなく、4次産業革命の時代における、新しい経済秩序と成長のためのパラダイム」と説明した。
イ市長が明かした、新たな収入の基本的な構造はふたつとなる。まずひとつは、幼児(0〜5歳)、子供(6〜11歳)、青少年(12〜17歳)、青年(18~29歳)、高齢者(65歳以上)、農漁民(30~64歳)、障害者(全年齢)など国民2800万人に、年間100万ウォンずつ支給するという構想だ。財源は、既存の政府予算を調整(日本円にして40兆円のうち、7%である2.8兆円)して捻出する。
また、国土保有税を基本所得税のひとつとして新設。全国民に年間30万ウォン(3万円)ずつ支給する。というのも、国民の95%はすでに出している財産税よりも少し多く納税することになるが、それより支給が多くなり損はしない。逆に国民の5%だけが損をするという説明だ。
現在、韓国国内の土地資産の価格は6500兆ウォン(約650兆円)だが、そこにかかる税金が少ない。そのため、国土保有税を新設して、国民の95%に還元する形でベーシックインカムを追加で支給しようという論理となる。イ市長は「不労所得こそ(社会)動脈硬化」とし、「これを適切に解決し国民に分け与えることができれば、動脈硬化は解決するだろう」と力説した。
また人工知能(AI)とロボット、自律走行車など、第4次産業革命(インダストリー4.0)の時代における、ベーシックインカムの必要性も示唆した。
「ベーシックインカム導入の先頭に立っているのは、皮肉なことに第4次産業革命を牽引し、人々の仕事を奪ってきたシリコンバレー(中略)彼らはテクノロジーが人間を代替することで仕事がなくなり、(自動化で)生れる利益が少数に集中することで、大衆の消費余力は低下、不平等が深刻化、最終的に資本主義体制は崩壊すると見ている」と説明した。
またイ市長は、カナダ、アメリカ合衆国アラスカ州、フィンランド、フランスなど各国のベーシックインカムの実験例、自由主義経済学者やオバマ米大統領の発言も紹介した。
またイ市長は、「韓国では“タダでやると怠け癖がつく”とう論理で(ベーシックインカムを)ポピュリズムと非難している」とし、「韓国初の試みとして成功した城南市ベーシックインカム実験(青年配当)を、中央政府を通じて全国に拡大するのが目標」と強調した。
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