製鉄大手ポスコが人工知能でメッキ付着量を自動制御...高品質化・コストダウン実現

ロボティア編集部2017年3月11日(土曜日)

 韓国最大の製鉄メーカー・ポスコが、生産工程に人工知能(AI)を導入する。韓国メディアによれば、「製鉄メーカーとしては世界初の試み」になるという。

 ポスコは8日、製鉄所、技術研究院、成均館大学システム管理工学科など産学研共同で「人工知能ベースのメッキ付着量制御自動化ソリューション」の開発に成功、すでに稼働に入ったと明らかにした。

 同ソリューションは、自動車鋼板の中心的な生産技術である溶融亜鉛めっき(CGL、Continuous Galvanizing Line)を人工知能で高精度に制御、メッキ付着量のばらつきを減らすことができる技術となる。リアルタイムでメッキ付着量を予測し、目標となる量に正確に合わせることができる。

 顧客となる自動車メーカーの要求に応じて条件が変化し続けるなか、メッキ層の厚さを常に均一に合わせるのは非常に難しい技術だ。そのため、手動でメッキ付着量を制御していた従来の方式では、作業者の熟練度に応じて品質にばらつきが発生していた。亜鉛は高価なため、品質のばらつきは必然的に生産コストの増大にもつながっていた。

 今回開発された人工知能を使ったソリューションを使用すれば、メッキ鋼板の品質向上、生産性拡大ともに、生産コストの削減が期待できるという。

 自動車用メッキ鋼板は世界800以上ある鉄鋼メーカーのなかでも、約20社しか生産できないと言われるほど高度な技術力が必要となる製品だ。ポスコは昨年、900万tの自動車鋼板を販売した実績を持つ。

 ポスコは検証されたメッキ付着量自動制御ソリューションを、海外法人のCGLにも拡大していく方針。また、他の鉄鋼製品の生産工程にも人工知能技術を積極的に導入することで、第4次産業革命をリードするスマートファクトリーの構築を進める計画だ。

photo by posco HP