中国3位の養鶏・加工業者CPグループが、約300万匹の産卵鶏を毎日点検するために、通称「乳母ロボット」を導入したと報じられた。これは、消費者に鶏の健康について確信を持たせるための措置だ。CPグループはすでに、鳥インフルエンザ、家禽チフスなどの養鶏疾病を予防するためロボット18種を利用しているという。
乳母ロボットは、車輪が付いたヒューマノイド型ロボットとなる。一日12時間、窓のない養鶏場を巡回し、鶏の体温と動きを観察。体温があまりにも高く、もしくは動かない鶏を回収する。これにより、養鶏場内の他の鶏を保護し、病気の鶏やその卵が流通することを防ぐ。
乳母のロボットには、頭、胴体、膝の上にセンサーが取り付けされている。鶏の体温を測定し、1秒間に写真6枚を撮影し管制室に送信する。管制室の勤務者たちは、写真を見て体温が41度以上であるか、動かない鶏を見つける。ロボットがひとつの層を巡回するのには6時間がかかり、一時間ごとに充電しなければならない。
養鶏場の管理にロボットを導入すれば、鶏が病気にかかった初期の段階で発見することができる。またロボットを使用すれば、鶏と人と接触を減らすことができ、養鶏場の労働者が、大腸菌、黄色ブドウ球菌などの有害な病原体に感染する危険性が減少する。
なお、CPグループはタイ系企業だ。昨年、中国での農食品事業で500億元(約8299億円)を売り上げた。市場調査会社IBISワールドによると、世界の養鶏市場で昨年CPグループのシェアは2.3%であった。イー副会長は、中国で毎年鶏4億匹を出荷し、今後5〜10年の間に出荷量を三倍に増やす計画だとも明らかにしている。
CPグループ中国農食品部門のシエ・イー(Xie Yi)上級副社長は、「食品の安全性は、中国で最も重要な問題。農場から食卓まで繋がるすべてのプロセスをコントロールすることを望む。人は時折ミスをして、問題を起こすこともある。そのため完全自動化は、安定性を促進するだろう」とコメントしている。
現在、CPグループとしては、養鶏の病気と偽食品流通などで、生産計画に狂いが生じることを懸念している。それら問題を解決するために、自主的に鶏と卵の生産と管理を開始した。
中国において、政府がすべての養鶏加工業者を監督することは不可能である。そのため、衛生管理不良、冷蔵設備の不足、抗生物質の乱用など食品安全システムにすきが生じる可能性がある。中国ではまた、鳥インフルエンザが深刻な状況だ。昨年12月には、鳥インフルエンザが人体に感染した事例が合計106件報告され、そのうち20人が死亡した。
食品の安全性は、中国にとっても非常に重要な問題になった。6人の死者を出した2008年の「メラニン混入ミルク事件」、そして放射能汚染魚介類や偽卵、偽餃子、偽米、偽酒など、中国人の偽食品への懸念は日増しに高まっている。
習近平主席は、第13次5カ年計画に、食品の安全性を評価し、食品規制・監督を強化するための研究所7カ所を新設する案を含んでいる。世界保健機関(WHO)も「(中国の)食品の安全性は非常に重要な政治的課題」と明らかにしている。
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