米経済学者J・ベッセンがビル・ゲイツに反論「自動化が全ての雇用を奪う訳ではない」

ロボティア編集部
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 ベッセン氏によれば、IT産業の発展も雇用者の増加に貢献した。1980年代にバーコードスキャナが導入され、レジ係の仕事が自動化されたが、レジスタッフの数は増加した。また電子文書は、2000年代に法律事務職員(パラリーガル)の仕事を自動化したが、法律事務職員の数は増加している。これらの雇用成長は毎年1.1%に達した。

 加えてATMは、銀行の窓口業務を代替したが、米国では銀行の窓口業務従事者(テラー)の数は年平均2%増加してきた。というのも、銀行はATMのおかげで、比較的低コストで支店を拡張することができた。支店が増えることで、ATMと窓口業務従事者がともに増加したという訳だ。

 ベッセン氏は、自動化が製造、物流、流通、トラック運転など特定分野で仕事を消失させる可能性もあるが、産業全体として見たときに雇用を増加させるだろうと指摘している。今後20年間、ロボットと人工知能が加速度的に発展・普及したとしても、雇用数の変化はそれらテクノロジーというよりも、需要によって左右されるとし、テクノロジーはむしろ不均衡な需要を是正する効果があるので、雇用を引き上げると主張している。

 一方でベッセン氏は、ビル・ゲイツ氏らが提案する「労働者の再教育の必要性」については同意している。ロボットと人工知能が経済的な不平等を拡大させ、多くの労働者が新しい技術を身に付けるために負担を強いられるという点については異論がないようだ。加えて、労働者の一部だけが新しい技術を身につけるので「技術格差(skill gap)」が拡大するとも予想している。