米シリコンバレーに拠点を構える製薬分野スタートアップ・トゥーXAR(twoXAR)が、人工知能を活用した新薬開発に乗り出している。
同企業の共同創設者兼CEOアンドリュー・ラディン(Andrew Radin)氏は、「我々は分子モデリング技術ではなく、病気に関連する膨大な量の医療データと高度に訓練されたAIベースのアルゴリズムを活用し、新薬開発を進めている」と明らかにした。医療データには、タンパク質相互作用、診療記録、遺伝子発現に関するデータなどが含まれる。
トゥーXARは昨年から、スタンフォード大学と連携して、リンパ管奇形(lymphatic malformation)、先天性表皮水疱症(epidermolysis bullosa simplex)など難病の新薬開発を進めている。また2017年に入り、日本の専門医薬メーカー・参天製薬の米国子会社・サンテンコーポレーションと提携。緑内障を治療するための新薬開発にも注力している。
加えて、スタンフォード、シカゴ大、ニューヨーク・マウントサイナイ病院などと協力し、希少皮膚疾患、肝臓がん、糖尿病性腎障害(diabetic nephropathy)、アテローム硬化症(atherosclerosis)などの新薬も開発中。関節リウマチの新薬については、臨床前段階のテストを終えた状態だ。
ラディン氏は、コンピュータ科学者が新薬開発に乗り出したことについて、自動車産業を例に出す。ラディン氏によれば、自動車メーカーのエンジニアは、車をより安全にするために、安全ベルト、エアバッグ、ブレーキシステムの技術開発に関心を持っているが、コンピュータエンジニアは、最初から運転をなくす方法を模索してきた。その過程で発想された自動走行車であり、それはGMやフォードなど自動車メーカーが考え出したものではない。新薬の開発についても同じことが言える。従来は分子モデルをつくりテストするのが主な方法だったが、コンピュータ科学者はデータに基づいて新薬候補を研究するとした。
photo by twoXAR HP