新型コロナウィルスの影響で資金繰りなど経営上の困難に直面しているスタートアップおよびベンチャー企業を支援するため、韓国省庁・中小ベンチャー企業部(以下、中企部)が約2兆2000億ウォン(約1930億円)の資金を捻出することを決めた。
中企部は4月8日、青瓦台(大統領府)で開催された第4回緊急経済会議に、上記内容を盛り込んだ「スタートアップ・ベンチャー企業支援策」を報告したと発表した。
今回の支援策では、中企部は計2兆2000億ウォンの予算をスタートアップとベンチャー企業の資金支援に割り当てる。スタートアップの資金難を緩和するため「創業企業専用資金」として5000億ウォンを増額、従来の1兆6000億ウォンから2兆1000億ウォンへ資金規模を拡大する。同時に創業企業の技術事業性評価項目を29項目から15項目に削減。資金支援の速度を速める。
また中企部は新韓銀行と協力し、有望なスタートアップを対象に計2000億ウォン規模の低金利特別資金の融資を支援する。企業あたりの貸し出し限度は2億ウォンで、金利は年1.87%水準だ。その他、技術保証財団を通じて財務環境の脆弱なスタートアップの特性を考慮し、従来の保証とは関係なく支援を受けられる特例保証も支援する。こちらは総額4000億ウォン規模だ。今後1年間、雇用維持を約束するスタートアップおよびベンチャー企業は、最大3億ウォンまで保証支援を受けられる。
中企部はベンチャー投資ファンド組成にも資金を支援する。政府資金が投入されたファンドの投資規模を、従来の3兆ウォンから4兆ウォン規模に拡大する計画だ。併せてベンチャーファンドへのファスト・クロージング(Fast-Closing)制度の導入も推進する。従来、ベンチャーファンドは約定された資金が100%集まった段階で企業に対する投資を開始することができるが、今年だけ期限付きで70%以上の資金が集まれば直ちに投資を開始できるようにするという。
なお22年までにユニコーン企業への成長可能性をもつ「予備ユニコーン」(企業価値1000億ウォン以上)を100社選定し、最大100億ウォンまで特例保証を支援。大規模投資誘致の機会を提供する。中企部の朴映宣長官は、今年中に約8400社のスタートアップ・ベンチャー企業に総額2兆2000億ウォンの資金を追加供給することで資金不足を解消する道を開くとし、デジタル新経済の主役を担えるよう政府が“架け橋”の役割を果たすとコメントしている。
日本でも、コロナ禍によって資金的に困難な状況にあるベンチャー企業やスタートアップに、早急に支援の手を差し伸べるべきだという関係者の声がある。一方で、ここ数年ベンチャー投資はバブル気味であり、コロナ禍を契機に淘汰が進むのではとの意見もあがっている。