NEVERのアクセラレータ「D2SF」が韓国テックスタートアップの環境を総括

ロボティア編集部
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Photo by TECH MEETS STARTUP 2019 HP

LINEの親会社・NEVERは、2015年からアクセラレータ「D2スタートアップファクトリー」(以下、D2SF)を通じてテクノロジー・スタートアップに投資を続けてきた。毎年1000社のリストの中から300社を検討、およそ10社のスタートアップを選定し投資を行っている。投資が行われた会社のうちおよそ半分はNAVERやLINEとコラボレーションを行っている。

TECH MEETS STARTUP 2019の基調講演を行ったD2SFのヤン・サンファン氏は、まだ国内スタートアップに対する投資が充分ではないとする。そこでD2SFは、テクノロジー・スタートアップのエコシステムにどのような問題があるのかを整理して、必要な解決策を見つけることに注力していると説明した。

TECH MEETS STARTUPは、昨年に続き2回目。韓国国内のテクノロジー・スタートアップがビジネスを成長させていく過程で経験した課題や悩みを共有し、より大きな機会を模索しようという趣旨がある。2019年のイベントには、スタートアップ、VCおよび投資家、起業家希望者、支援機関など関係者約1000人が参加した。

ヤン氏は、テクノロジー・スタートアップの重要性を喚起しつつも、国内のエコシステムがいまだ劣悪な状況にあると厳しい指摘を行った。投資件数および金額は毎年増加しているが、全体的に見た時にまだしっかりと投資を受けることができきていないテクノロジー・スタートアップが多いとする。例えば、30億ウォン(約3億円)以上の投資を受けたテクノロジー・スタートアップの割合は全体の10%にも満たないというのが彼の主張だ。

ヤン氏はエコシステム確立やテクノロジー・スタートアップが投資を受けにくい状況について、「技術予測」や「技術の価値が顧客やパートナー企業に到達すること」の難しさを挙げた。

世界中で新しい技術予測が登場するが、新たなテクノロジーのほとんどは光を見ずに消えていく。ヤン氏はガートナーのハイプサイクルを引用。「25年の間にハイプサイクルに登場した技術が200個を超えたが、50個は一年だけ輝いては消え、全体の約20%は現実化されなかった」と指摘した。

また、ほとんどのテクノロジー・スタートアップがパートナー企業を通じて顧客接点を持つが、顧客に技術が到達するまでにいくつもの段階を踏むため、その価値が伝わりにくい構造があるとする。端的に言うと、しっかりとした評価を受けにくいということである。

トレンドが変わり続けるという点もスタートアップが成長しにくい背景のひとつだとヤン氏は言う。加えて、源泉技術は時間が経過すると誰でも使えるようコモディティ化する。そのため、ヤン氏は「テクノロジー・スタートアップが源泉技術自体のみ執着してはならない」とも警鐘を鳴らす。

技術とビジネス開発リソースの不均衡もテクノロジー・スタートアップが抱える問題だ。これは、技術そのものを実装するために大きなエネルギーを注ぐ一方、市場調査および事業開発のための能力を備えていないケースがほとんどであるという指摘だ。技術開発にのみ注力するあまりターゲットとなる市場を適切に読み取れず、海外進出が遅くなることも失敗の要因だとヤン氏は総括する。

ヤン氏は国内市場の狭さを直視し、当初から海外を含めた市場および市場進出機会を的確に見定めるべるきだとしつつ、次のように付け加えた。

「D2SFの初期には、技術が最も重要だと思っていた。しかし、これは仮定として失敗だった。(テクノロジー・スタートアップは)当初から市場を明確にしなければ“時間的に解けない問題”が発生するということを経験的に気づかされた」

韓国スタートアップ・エコシステムを牽引するD2SFは、今後、どのようなテクノロジー・スタートアップに白羽の矢を立てていくのだろうか。