サムスンが人工知能スタートアップ投資で世界4位に浮上

ロボティア編集部2016年6月28日(火曜日)

 ここ最近、M&Aに積極的な動きをみせているサムスン(samusung)だが、人工知能(AI)スタートアップ投資部門で、世界4位の水準に名を連ねていることが明らかになった。

 6月27日、スタートアップ情報企業であるCBインサイツ(CB Insights)によれば、2011年から今年5月16日までの約5年間、サムスンベンチャー投資(samsung venture investment)は、7つの人工知能スタートアップ企業に投資してきたという。

 これは、インテルキャピタルとグーグルベンチャーズ、GEベンチャーズなどに続き、4番目に多い投資となる。なお、サムスンベンチャー投資は、1999年にグループ内の4つの系列会社が出資し設立されたベンチャーキャピタル。同集計の対象は、企業投資家(corporate investor=他の会社に投資して経営権を得ている会社)となる。

 サムスンは昨年8月、ワイプロベンチャーズ(Wipro Ventures)とともに、AIロボットスタートアップであるヴァイキャリアス(Vicarious)に2000万ドルを投資した。また昨年11月には、サムスン戦略イノベーションセンター(SSIC)傘下の、サムスンカタリストファンド(Samsung Catalyst Fund)が主導し、ベルギーのスタートアップ・センティアンス(Sentiance)に520万ドルを投資している。

 センティアンスは、ユーザーが望む位置や時間に適した、正確な情報ネットワークサービスを提供する、環境知能(ambient intelligence=アンビエント・インテリジェンス)企業だ。その他にも育児を担当する「ママロボット」を開発中のスタートアップ「ジーボ(Jibo)」に2530万ドルを投資した。マシンラーニング会社であるマルーバ(Maluuba)には、 2012年に200万ドル規模のシードファンディングに乗り出した。

 サムスンは今月に入って、米国のクラウドサービス企業であるジョイエント(Joyent)や、カナダのデジタル広告会社であるアドギア(AdGear)を買収するなど、素早いM&Aの動きを続けている。

AIスタートアップ投資の状況_サムスン2
photo by samsung venture investment

 サムスンベンチャー投資は今年1月、シグナル・ベンチャーズなどとともに、自動走行車スタートアップ・ヌートノミー(nuTonomy)に360万ドルを投資したのに続き、5月にも1600万ドルを共同投資した。ヌートノミーは、米マサチューセッツ州工科大学(MIT)から分社したスタートアップで、2018年にシンガポールで無人タクシーサービス開始を目指している。

 サムスン電子のリ・インジョン無線事業部副社長は最近、海外メディアの取材に対し「すべての可能性を開き、AIとソフトウェア部門でM&A対象を積極的に探している(中略)人工知能はもはや選択ではなく必須」と述べている。

 CBインサイツによると、今年の初めから15日までの間、200社以上のAI企業が、合計で15億ドルの投資を受けていたことが明らかになった。また、今年の第1四半期だけを見ると、合計145件の投資が実現されており、四半期ベースではもっとも多くの投資が行われたともいう。

 一方、同じ期間、ベンチャーキャピタル(VC)投資家全体でみると、サムスンベンチャー投資のAIスタートアップ投資順位は12位に落ちる。シリコンバレーの有名ベンチャーキャピタルであるコスラ・ベンチャーズ(Khosla Ventures)が、企業投資家であるインテルキャピタルを超え、最大の投資家に名を連ねた。