中国が人工知能に莫大な予算を投じるなか、米国では予算が削減されているとニューヨークタイムズが報じた。
中国政府はこれまで、AI研究プログラムに数十億ドルを投入してきたが、今後もAIプロジェクトや関連スタートアップの研究に数十億ドルを支援する準備をしているという。一方、米トランプ政府は先週、人工知能関連の研究支援を減らす内容を含む予算案を公開している。
ニューヨークタイムズは、ドイツで自律ロボット研究の博士課程を終えたセーレン・シュベルトペッカー(Sören Schwertfeger)氏について焦点を当てている。彼が研究拠点として選んだのは、欧州ではなく中国だった。Sören氏にとっては研究資金の支援が何よりも重要なことだったが、中国では欧州や米国の6倍の研究費が支給されたという。
「他の場所であれば、研究室を始めることはできなかったはず。研究費支援は米国と欧州では減っているが、中国では目に見えて増えている」(セーレン氏)
現在、中国の多くの地方政府は、ロボット工学に数十億ドルを投入しているのだが、その一部はAI研究にもまわされる。例えば、中国湖南省の都市・湘潭では、ロボットと人工知能開発に20億ドルが投入されることになった。他地域では、AI産業に直接的なインセンティブが与えられることもある。深圳では、AIプロジェクトを開始する際に100万ドルが支援される場合があるそうだ。
中国ではその他にも、国家的なAI開発の準備が着々と進められているという報せも聞こえてくる。規模は不明だが、その予算規模は数十億ドルに達する見込みと、メディア各紙が伝えている。一方、トランプ政府の予算案では、米国家科学財団の、いわゆる“知能システム”への支出は1億7500万ドルで、10%減額となった。他分野の研究開発も減少する予定である。
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