人工知能技術を導入マイクロソフト「Office365」の威力は!?

ロボティア編集部2017年4月21日(金曜日)

 マイクロソフトは17日、クラウド基盤のインテリジェンス機能が搭載された、新たな「Office365」を公開した。今回のOffice365には、2、3回クリックするだけで見やすい配色パターンを決定し、プレゼンテーション資料を鮮やかに仕立ててくれる「デザインアイディア」機能が追加された。

 作成者がページ内に添付する写真とテキストのみ入力し、「デザインアイディア」ボタンを押すと、多彩なデザインでテキストや写真を配列。見やすく作成されたオススメのスライドを表示してくれる。作成者はその中で気に入ったものを選び、この作業を繰り返すことでパワーポイントを完成させていく。つまり、わかりやすくキレイなパワーポイントを作るために、もう頭を悩ませる必要がなくなったというわけだ。

 また、発表文書の基本的な枠組みを自動で作成してくれる「クイック・スターター(Quick Starter)」機能もある。こちらは希望するキーワードを入力し検索すると、テーマに関する基本情報と内容はもちろん、関連検索ワードや関連写真までが一括で収集され、ひとつの文書として自動的に構成される。内容の核心となるキーワードと伝えたいテーマさえ決まっていれば、難なくプレゼン資料を作り上げることが可能だ。

 なお、ビジネスシーンにおける活用頻度で、パワーポイントにも劣らないエクセルにも新たな機能が追加されている。すでに持っているデータをもとに、いまだ収集されていないデータをも予測する「フォアキャスト(予測シート)」機能だ。

 こちらは株価の動向や為替相場など時間軸に沿って変動するデータを使用する際、2016年の資料のみ収集しておくと、2017年、2018年など、未来のデータをある程度予測した上で表とグラフに仕上げることが可能だ。マイクロソフト側は、「想定外の事態が起きない限り、実際の資料と比較してもかなり正確な予測情報を提供することができる」と自信を見せている。

 さらに、インターネット上で表示される外部データ(為替レートや一覧表など)を自動で認識および分類し、エクセル文書に自動で取り込める「ウェブクエリ(Web Query)」機能も改良された。インターネットやウェブページ内容をいちいちコピペしなくても、表が自動で出来上がる。

 マイクロソフトが展開する「Office」シリーズは全世界でユーザー数は10億人を越えるとも言われ、蓄積されたビッグデータは計り知れない。改良されたオフィス365が提供するインテリジェンス機能には、マシンラーニングなど人工知能技術が大いに活用されている。つまり、既存のプログラムにAI秘書機能を追加したことによって、インターネット検索データやユーザーデータ、業務データなどを分析した結果をもとに、現在のユーザーに最も必要・有用な情報を提案することが可能となったということだ。

 なお、先述したインテリジェンス機能は、Office365全体で提供するごく一部に過ぎない。Office365の企業用バージョンでは作業者の勤務時間やパターンを分析して、より効率的な業務配分が可能となるようにサポートしてくれる。そればかりでなく、社員の協業パターンを把握し、現在進行している業務を分析しながら、最適の協業パターンまで提案してくれる機能もある。

 また、懸念されていたセキュリティ機能も人工知能技術によって改良された。人工知能基盤のクラウドプラットフォーム「マイクロソフト・アジュール(Microsoft Azure)」を通じて、外部のウイルスを事前に探知し、驚異の検出や対応をサポートする。人工知能技術を使った新たなサービスで挽回なるか――。人工知能を使ったデスクワークの効率化に、注目が集まっている。

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