AIが独創的な絵を描く!!...GANを超える「敵対的創造ネットワーク(CAN)」を活用

Photo by Rutgers university (上:CANが高評価した人間の作品 下:低評価作品)

 CANは、それら作品を学習し自ら評価を下した後、自分が必要だと感じたスタイルなどを使用して、どの流派にも属さない「自分だけの絵」を描く。というのも、他の作品が使用した技法、スタイルなどを模倣しないようにプログラムされているからだ。つまり、アート作品に欠かすことができない「ユニークネス」を追求するように設計されていることになる。

報告書は、「既存の技法とスタイルから脱した新しい技術とスタイルで、可能な限り少ない数の特徴ある美術作品を作り出している」としている。ジャンルとしては、肖像画、風景画、宗教画など多様な領域が含まれている。

 興味深いのは、CANがダ・ヴィンチが描いた傑作「モナリザ」を高く評価していないというエピソードだ。技術面で、他の作品と比較して序列が低いと判断している。一方、人工知能が最も高い評価を下しているのは「抽象画」だ。(上画像参照)

 実施されたアンケート調査では、回答者の85%がCANの作品を見て「人が描いた絵」と判断したそうだ。またCANが描いた絵全体を対象にしたアンケート調査では、53%が「人が描いた絵」と答えている。これはGAN35%より18%も上回る結果となった。なお世界的なアートフェア・アートバーゼル(Art Basel)に出品された作品を対象に実施されたアンケート調査の結果では、GANは41%を記録しているが、その結果を見てもCANが描いた作品がより人間的であると判断されうるということができそうだ。

 余談だが、調査参加者は人間の書いた絵画の判断基準として「意図的(intentional)」、「視覚構造的(visually structured)、「コミュニケーション的(communicative)」、「インスピレーションを刺激する(inspiring)」などを挙げという。

 報告書は、「人工知能はまだ傑作を生み出していないが、人間の作家たちと比較して遅れをとらない創作能力を示している(中略)今後の技術発展に伴い、アート界全般に及ぼす影響は非常に大きい」と予測を示した。

河鐘基

記者:河鐘基


1983年、北海道生まれ。株式会社ロボティア代表。テクノロジーメディア「ロボティア」編集長・運営責任者。著書に『ドローンの衝撃』『AI・ロボット開発、これが日本の勝利の法則』(扶桑社)など。自社でアジア地域を中心とした海外テック動向の調査やメディア運営、コンテンツ制作全般を請け負うかたわら、『Forbes JAPAN』 『週刊SPA!』など各種メディアにテクノロジーから社会・政治問題まで幅広く寄稿している。