最新のディープラーニング技術「CycleGAN(サイクル・ガン)」を活用し、動画サイト上で生放送するクリエイターの顔を入れ替えるというテスト結果が、YouTube上に公開された。
事前にラベルリングされたデータがなくとも、教師なし学習を通じてベースとなるデータと同様のコンテンツを生み出すことができるディープラーニングアルゴリズム「GAN」を考案したGoogleブレインのイアン・グッドフェロー責任研究員は、今回、自らのTwitterに同テスト実験の様子を収めた動画を公開した。行われた実験の趣旨は、リアルタイムでふたりの顔をすり替える=「フェイスオフ(Face-off)」するというものだった。
動画には、似ても似つかないふたりのクリエイター(男性と女性)が登場する。ただ男性が顔や手を動かすと、左に登場する女性がまったく同じ動きをする。これは、CycleGANを利用して、男性の映像データを女性クリエイターに変換した結果だ。動画では、逆に女性クリエイターの姿を、男性クリエイターに「フェイスオフ」する様子も収められている。
CycleGANはGANのひとつ。機会の学習に必要なペアデータを与えることなくとも、あるデータが持つ特徴を他のデータに転送させる方法を自ら学ぶディープラーニングアルゴリズムだ。
米UCバークレー大学の研究チームが考案した同アルゴリズムは、馬をシマウマのように変換したり、逆にシマウマを馬に変換することができる。またモネ、ゴッホなどの有名画家の画風を再現したり、風景画像を他季節のパターンで表現することも可能である。
CycleGANのような技術が発展すれば、誰もが画像・動画を自由にカスタマイズできるソフトウェア、サービスが登場し、イメージ編集に革命が起きるだろう。一方、スマホやPCなどに表示される画像や映像が、本物かどうか見抜くのはいよいよ難しくなってくるかもしれない。
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Photo by youtube