次世代AI技術「敵対的生成ネットワーク(GAN)」研究第一人者が語った衝撃の成果

ロボティア編集部2017年6月7日(水曜日)
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 人工知能研究者であるイアン・グッドフェロー(Ian Goodfellow)氏は、2014年に興味深い論を発表した。ゲーム理論(Theory of games)を活用した「敵対的生成ネットワーク(GAN=Generative Adversarial Networks)」についてだ。論文発表後、グーグルやフェイスブックなど大手IT企業は、先を争ってAI技術にそのGANを組み合わせ始めたと言われている。

 GANは、人工知能が「受動的認識」から抜け出し「能動的な行動」を取るための基礎を作ったとされる。言い換えれば、人間による指導的な学習の限界を超え、自ら「合理的判断」を行うAIを誕生させる礎をつくったと評価されている。

 グーグルのリサーチチームに迎え入れられたグッドフェロー氏は先月5月9日、米カリフォルニア州で開催された「NVIDIA・GPUテクノロジーカンファレンス(GTC2017)」に登場。GANの原理と拡張の可能性について説明した。

 グッドフェロー氏は、GANについてまず、「貨幣偽造犯」と「警察」の間にある競争のコンセプトを人工知能に繋いだものと言及した。そして、GANの目的は競争を通じてより真実に近い結果を出すこととしている。

 GANには、自らのイメージを作成する「生成者(generator)」と、そのイメージが本物か偽物か識別する「識別者(discriminator)」があり、ふたつは互いに競争する。生成者は貨幣偽造犯のように、できるだけ本物に近いイメージを作成。それに対して、識別者は警察のように「それがどれほど本物に近いか」を識別する。生成者と識別者が競争し続けることで、やがて人間が指導・学習の手を加えなくとも、機械自らが正解に近いイメージをつくりだすことが可能になる仕組みだという。つまり機械自ら仮定と否定を繰り返し、より正解に近い答えを探し出そうと、弁証法的に発展していく技術と解釈することができる。