グッドフェロー氏は、生成者と識別者が互いに繰り返し競争することで、識別者はより正確に識別できるようになり、生成者は識別者を欺くことができるよう正確により近いイメージを生成する方法を学ぶとしている。そして、そのように人工知能のニューラルネットワークを拡張させていけば、あえて人が答えを教えずとも、機械が自ら学習していくことが可能だと説明する。
なおGANは、画像解析を通じた損傷イメージの復元、画像を使った予測アプリケーション、新薬開発など、創造的な領域で活用されはじめていると、グッドフェロー氏は付け加えている。
実際、AIを活用した新薬開発を進めているインシリコ・メディシン(Insilico Medicine)社は最近、GAN技術をベースに、自社が保有する320万の遺伝子発現データと650万人分の血液をテスト。新薬開発において最適な候補となる物質を、3ヶ月ぶりに発見したとされている。
グッドフェロー氏は、GANの技術進歩と今後の可能性についても言及した。まず、画像解析および合成に強みを発揮するGANは、デザイン分野で高い威力を発揮するとしている。グッドフェロー氏によれば、おおよその絵だけ描けば、残りを人工知能が完成させてくれるというような、GANを使ったデザインソリューションがすでに運用されているそう。また、実写に限りなく近い画像イメージを作りだすことも、GANを使えば可能だと言う。
人工知能にひとつの画像を提示しその次の行動を予測させる、いわゆる「画像未来予測」技術も、現在GANが挑戦しているプロジェクトのひとつとなる。最近、MITの研究チームが写真1枚を用いて1.5秒の動画を自動生成する技術を発表しているが、これはGANを活用した初歩的な段階のソリューションとなるそうだ。