ボストンコンサルティンググループ(以下、BCG)、トラクティカ(Tractica)などコンサルティング・市場調査企業が、ロボット産業の成長率や市場拡大予測について、数値を上向き修正している。
BCGは2014年に発行したグローバルロボット市場を分析する資料で、2025年までに売上高が670億ドルに達すると予想している。しかし、今年2017年に発表した市場予測レポートでは、2025年のロボット産業の市場規模予測を870億ドル(約10兆円)と上向き修正した。 BCGが市場の見通しを高く見積もっているのは、消費者用ロボット=サービスロボット市場が大きく成長しはじめているからだ。
一方、トラクティカは、ロボットおよびAI産業を合わせた市場予測資料を公表している。そこでは自動走行車などに用いられるAI技術も合わせて計算されており、予測される市場規模がかなり高く見積もられた。トラクティカは2022年のロボット市場規模を2370億ドルと予測。これはBCGの予測よりもはるかに大きい数値だ。
両社はともに、ロボット技術の発展に注目している。これまでのロボットは、サイズが大きく、危険で、プログラミングやメンテナンスが困難という特徴・印象があった。しかし、最近登場しているロボットは、音声および言語認識機能、高速通信機能、データ&アルゴリズムライブラリ、学習能力、モビリティなど、スマートかつ人間との共存しやすい特徴を持っている。
なおBCGは、最近のロボット産業の成長について、次のように要点を整理している。
まずロボットメーカーの資金調達の規模が、毎年、指数関数的に増加しており、企業買収額もますます大きくなっている。次にロボット、センサー、CPU、通信装置の価格は下落しているが、性能は向上している。加えて、ロボットのプログラミングは、GUI、ROSなど簡易なインターフェイスを通じたものに変化している。
一方、自動走行車の分野では高度な人材確保競争が行われており、競合他社間で戦略的な買収も拡大しはじめている。なお、ロボットスタートアップの40%が消費者(サービス)セクターで、ヘルスケアや高齢者支援分野の人材が顕著な増加を見せているという。
トラクティカは、ロボット産業市場の重心が「産業用ロボット」から「非産業用ロボット」に移行していると指摘した。これまで、ヨーロッパ、日本などによりロボット市場が牽引されてきたが、現在はパーソナルサポートロボット、UAV、自動走行車など、非産業用ロボット市場が拡大しており、AIを武器に掲げたシリコンバレーの影響力が拡大しているとする。
トラクティカは、2016年の310億ドルから、2022年には2373億ドル規模にまでロボット市場が急拡大すると予想している。また、ロボット市場が非産業用ロボットによって牽引されると指摘している。
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