NAVERが韓国最大の出前アプリ「配達の民族」に35億円投資…O2O業界でも広がるAI活用

ロボティア編集部2017年10月31日(火曜日)

韓国O2O(Online to Offline)業界でも、人工知能を活用しようという動きが活発化している。

10月30日、韓国最大の配達アプリ「配達の民族」を運営する企業「優雅な兄弟たち」が、国内IT企業最大手・NAVER(ネイバー)から350億ウォン(約35億円)の大規模な投資を誘致したと明かした。

優雅な兄弟たちは今後、アプリ「配達の民族」で使用するAI=音声認識および自然言語処理の研究に集中する計画だ。顧客が食べ物を注文する際にテキストを入力するのではなく、会話形式で食べ物を検索・注文可能にするのが目標だという。

例えば、顧客が「雨の日にふさわしい料理をお勧めして」や「昨日お酒をたくさん飲んだので、二日酔いによい食べ物が欲しい」とAIに話しかけたとしよう。AIは顧客の言葉と内容を認識・分析。希望する適切な料理を、配達するという具合だ。そのようなサービスを実際に実行するためには、AIプラットフォームが不可欠となる。

NAVERは独自のAIプラットフォーム「クローバ(Clova)」を持っている。優雅な兄弟たちは、そのAIプラットフォームと自社の配達網を繋げ、新サービスの確立を目指す。一方、NAVERは優雅な兄弟たちの配達プラットフォームを利用。サービス数と利用者数を同時に増やす算段だ。

配達の民族のサービスは今後、NAVERのAIスピーカー「ウェーブ」と「フレンズ」にも導入される予定である。現段階では、NAVERのAIスピーカーに食べ物を注文する機能は搭載されていない。一方、韓国初のAIスピーカー「ヌグ」(SKテレコム製)はすでに、食品のオーダーが可能となっている。

優雅な兄弟たちは今年3月の段階で、人工知能プロジェクト「ベミンデビッド」を発足。100億ウォン(約10億円)を投資するとしている。今年200人の人員を新規に採用する計画を進め、現在150人ほどが補充されたとも伝えられている。そのうちの大半は、エンジニア・開発者だ。なお、優雅な兄弟たち全体としても、エンジニア・開発者が占める割合が多いという。

一方、民泊アプリ「ここどう?」を運営する「With Innovatio」もAI研究‧開発に積極的だ。同社は今年3月にAIチャットボット「アルフレッド」をリリース。9月には、「AIスマートレビュー通知サービス」を導入している。

AIスマートレビュー通知サービスは、ディープラーニングを活用し、ユーザーが作成したレビューを解析。単語や文脈から肯定・否定的な意見を読み解き、ユーザーの感情を感知する。仮に利用者が特定の宿泊施設に対して不満を抱いたレビューを残せば、AIそれを判断し、宿泊事業主に伝える役割を担う。宿泊者側は、多くのレビューをいちいち読まなくても、苦情について迅速に対応することができる。

またWith Innovatio は30日から、新サービスのためのデータ収集作業を開始する。これは価格、備品、位置などの基本情報ではなく、宿泊施設独自のデータベース(DB)を収集する作業だ。

例えば、日の出が有名な宿泊施設があれば、観光に適した時間などを提示するなど、基本情報で知ることができない詳細情報を集めるのが狙いだ。With Innovatioの関係者は韓国メディアの取材に対し、「事業主が施設を運営しながら利用者によく聞かれる質問をDB化する(中略)事業主が近くにいなくとも、必要な情報をアプリから簡単に取得できるようにする計画だ」と説明している。

With Innovatioも今年、エンジニアを40人ほど新規採用する予定だ。すでに一部の人員が補充されており、大企業や大手IT企業からも採用されたことが確認されている。同社CTOのユン・ジンソク氏は「新しいエンジニアを採用したらまずソフトウェアに集中する。長期的には人工知能に投資しようと思う」とメディア取材に答えている。

Photo by 配達の民族HP