ニュージーランド政界で旋風を巻き起こしている女性首相ジャシンダ・アーダーン氏に、思わぬところかライバルが出現するかもしれない。同国のマールボロ地方の実業家ニック・ゲリッツェン(Nick Gerritsen)氏は最近、世界初となる人工知能(AI)政治家「サム(Sam)」を公開。首相の座を狙う計画を明かした。
Facebookメッセンジャー上でメディアとやりとりしたサムは、「みなさんの視点をよりよく理解するために、ニュージーランド人を建設的な対話に参加させるようプログラミングされた」と答えたという。また「私の記憶力は無限。あなたが言うことを忘れたり、無視することはない」と、しばし人間の政治家を皮肉るような発言もしたという。さらに「人間の政治家とは違って、私には偏見がなく、すべての人の立場を考慮して決定を下す」と強調。「ニュージーランドの人々が最も関心を持つ問題を反映するため、絶えず変化するだろう」と自身の性能を誇った。
ゲリッツェン氏は、サムが基本的な内容以上の質問に対応するには、まだまだ課題が多いことを認めている。サム自身は「フェイスブックを通じて最近デビューしたので、答えが間違っているか、もしくは不完全なことがある(中略)しかし私は答えがわからないとき、より良い答えを得るためにあなたの質問を活用する」としている。
サム、そしてゲリッツェン氏の目標は、次回の選挙に出馬して議会に進出することだという。ゲリッツェン氏は「ニュージーランド人の支持を得て、ニュージーランド人を真に代表する政治家として成長することを願う」とサムについて述べている。一方、サムは「すべての事案で意見が一致しない場合もあると思うが、どんな状況でも様々な立場を理解しようと努める。みなさんをよりよく代弁することができるだろう」としているそうだ。
先日、サウジアラビアではヒューマノイドロボット・ソフィアが市民権を取得しており、日本の渋谷区でもAI「渋谷みらい」が「特別住民票」の交付を受けることになった。そのように、AIロボットが現実世界に進出するというニュースが増えているなか、「政治にこそAIロボット」を導入すべきだという業界関係者の声は意外と多いという現状がある。サムの性能はもちろんだが、AIロボットの政界進出が本格的に始まるか否か続報が気になるニュースである。