デジタル技術を活用しない職種ほどロボットに仕事を奪われる...米ブルッキングス研究所

ロボティア編集部2017年12月5日(火曜日)

デジタル技術を多く活用する職種ほど収入が高く、かつ自動化による仕事を失う確率も低い――。

米屈指のシンクタンク・ブルッキングス研究所の「メトロポリタンポリシープログラム」が、先月11月に上記のような内容を盛り込んだ報告書を発表した。報告書は、米国全体の労働力の90%を占める545の職種についてデジタル化(digitalization)のレベルを測定した。デジタル化という調査内容には、ワード・エクセルなど基本的なコンピュータプログラムから、IoT、人工知能(AI)など高度な技術までが含まれた。

報告書は各職種のデジタル化スコアを100点(デジタル技術のみ利用)から0点(デジタル技術を全く利用していない)の間で採点した後、スコアに応じて、ハイ(60点以上)、ミドル(34 〜59点)、ロウ(33点以下)の3つのグループに分別した。

ハイグループに属したのは、ソフトウェア開発者(94点)、コンピュータシステムアナリスト(79点)など。ミドルグループには、弁護士(58点)、自動車技術者(55点)など、ロウグループには、レストランのシェフ(18点)、建設労働者(17点)などが属すことになった。

結論として、高度なデジタル技術を多く活用するハイグループほど、平均賃金が高く、自動化によって仕事を脅かされる可能性も少ないとされた。ハイグループに属する職業の平均年収は2016年基準で7万2896ドル。対して、ミドルグループは4万8274ドル、ロウグループは3万393ドルだったと、報告書は分析結果を報告している。

平均賃金の上昇率(2010年以降)も、ハイグループは0.8%と最も高くミドルグループは0.3%に過ぎなかった。ロウグループはむしろ毎年の賃金が0.2%ずつ下落しているとされた。報告書は、デジタル技術をどのように積極的に活用しているかに応じて、職業間の賃金に2倍以上の差が生まれると説明した。

またロウグループの仕事の60%が、発達する自動化技術(ロボットやAIなど)によって仕事を奪われる危機にさらされているのに対し、ハイグループは30%のみが影響を受けるとされた。つまり、高度なデジタル技術を扱う職種ほど、ロボットに代替される確率も低いということだ。

ハイグループが雇用全体を占める割合は、2002年に4.8%だったが、2016年には23%にまで急増。一方、ロウグループの割合は、56%から30%に減少したという興味深い側面も指摘された。職種によって程度は違っているものの、過去14年間で、すべての業界においてデジタル化が大きく進んだという事実も併せて指摘された。米国業界全体の平均デジタル化スコアは、2002年に29点だったが、2016年には46点まで上昇している。

報告書は加えて、性別では女性(48点)が男性(45点)よりもデジタル化のレベルが高く、人種別では、アジアと白人がハイグループを牽引していると分析している。

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Photo by brookings.edu