【イベントルポ】VRのアイデア満載! リクルート「ATL SHOWCASE フェス 2017」に行ってみた

ロボティア編集部2017年12月20日(水曜日)

2017 年 12 月 16 日、リクルートテクノロジーズが運営するオープンイノベーションスペース「アドバンスドテクノロジーラボ(以下、ATL)」で「ATL SHOWCASE フェス 2017(以下、ショーケース)」が開催された。

ATLはこれまで、クリエイターや開発者を「客員研究員」として迎え、最新かつ高価なVR開発用機材、モーションキャプチャー用設備などを無償提供し開発をサポートしてきた。そして開催されたショーケースでは、ATL客員研究員が制作したVRコンテンツなど12作品が展示されることになった。

展示された作品には、今後のVR技術の可能性を感じさせるようなさまざまなアイデアが含まれていた。ここで、その作品をいくつか紹介していきたい。

まず、はじめに注目したいのが「VR錯覚ターン」という作品。制作・展示したのは、クリエイター・UUUPAさんだ。

同作品には、仮想空間内での認識を“錯覚”させることで、バーチャルと現実の空間認識を変更する「リダイレクテッドウォーキング(Redirected Walking)」の手法が取り入れられた。早速、実際に体験してみる。すると、VR空間内では長い距離を歩いているように感じるが、現実には狭い空間を行ったり来たりしているだけという不思議な体験をすることができた。

UUUPA氏

UUUPAさんは「リダイレクテッドウォーキングの考え方をVRに取り込み、新たな活用方法やコンテンツを考えていきたい。現段階では、美術館コンテンツへの応用など構想している」と、今後の見通しを話してくれた。なお、UUUPAさんはインテリア内覧VR「知人のためだけの間取りVR」も今回のショーケースに展示した。

次いで、「そこに西瓜はあるのかい」という作品も、とても興味深いコンセプトだった。開発したのは、「冨永敬と増田雄太と大西拓人」(チーム名)のメンバーたち。ちなみに、メンバー三人の本職はそれぞれ、テレビディレクター、広告プランナー、テクニカルディレクターとのこと。普段から一緒にモノづくりを行うことがあるそうだが、ATLではVR関連のコンテンツに挑戦したという。

「そこに西瓜はあるのかい」を端的に説明すると、“スイカ割りゲーム”なのだが、本来のゲームルールとは異なる点がある。それは「スイカを割る人の視界を遮られない」というものだ。

もう少し詳しく説明しよう。VRゴーグルを装着したメンバーの前には、海辺と砂浜、そしてスイカが映し出される。そして、コントローラーを持ったメンバー(ゴーグルはつけていない)に、スイカの位置を知らせる役目を担う。一方、コントローラーを持ったメンバーは、現実には何もない空間でスイカがあるであろう位置を探す。そして、コントローラーを振り下ろし、見事に“仮想スイカ”を割ることができればゲーム成功となる。

開発メンバーは「VRゴーグルをつけると周囲の人間には何も見えず、状況が伝わってこない。現実空間と仮想空間を繋いで、1対多の構造で楽しむコンテンツを作ろうと思った」と開発の背景を説明してくれた。

「冨永敬と増田雄太と大西拓人」のライトニングトーク

そして、今回のショーケースでもっとも尖った作品となったのが「VR招かれざる客」。開発したのは、クリエイターの393さんだ。「VR招かれざる客」は、VRゴーグルを装着したユーザーが美少女に変身。仮想インテリア空間内に次々と現れる変態を、ただただ撃退するというものである。なお、変態のモデルとなったのは393さん本人だそうだ。

VR招かれざる客のキャプチャー画像
視覚食~シカクショック~

その他にも、醤油をかけたミカンのお寿司をイクラ味と錯覚させる「視覚食~シカクショック~」(Iden&Tityさん)や、東北応援キャラクター・東北ずん子ちゃんとコラボにより実現した「東北ずん子VR」(株式会社エンタップ)、HoloLensでたき火と焼き芋を再現した「HoloTakibi」(田中正吾さん)など、多くの作品が展示された。全作品の詳細はこちらより確認できる。