ファーウェイが「世界接続性指標2018」を発表...人工知能への期待と人材不足が落とす影

ロボティア編集部2018年6月3日(日曜日)

5月29 日、通信機器大手・ファーウェイは2018年度の「世界接続性指標 (Global Connectivity Index、GCI 2018)」を発表。人工知能(AI)が国家のデジタル経済への対応においてパラダイムシフトを加速しており、結果、世界のデジタル経済の価値が、2017年の12.9 兆米ドル(約 1403 兆円、世界のGDP の17.1%)から、2025 年までに約 2倍の 23 兆米ドル(約 2501兆円※)まで押し上げられる可能性があるとの予測を示し。同報告書は一方で、世界的な AI人材不足がこうした 成長を脅かすだろうとも予測している。

今年で 5年目の発表となるGCIでは、各産業で AIをブロードバンド、データセンター、クラウド、ビッグデータ、IoT の5つの主要技術に組み込む動きが進み、コネクティビティがインテリジェントになることで、イノベーションを通じた新たな経済成長の波が促進されていることが明らかになった。今日のデジタル経済を牽引しているのは消費者主導のインターネットだが、産業界でもこのインテリジェントなコネクティビティを活かし、画期的なビジネスモデルや製品、プロセス、サービスを創出しようとする動きが活発になってきている。こうした動きにより、接続性指標と GDPの関係性を示すGCIS字曲線に沿った成長が加速し、経済成長の新たなサイクルが切り開かれていくと予測されている。

また、各国はAIの効果的な大規模展開に向けて、コンピューティングパワー、ラベル付けされたデータ、アルゴリズムという 3つの等しく重要な要素を備える必要があることを指摘された。現在、GCI の3つのクラスターの最上位に位置する「フロントランナー」(図で青色表示)は、その堅牢なICTインフラにより、 こうした3つのすべての要素で「アダプター」や「スターター」のクラスターをリードしている。

一方で、こうした 3つのGCIクラスターに共通して大きな課題となっているのが、AI開発人材の不足だ。各国政府はAIによって再定義される将来の仕事環境に向けて教育を再考し、競争力のあるAI人材の獲得のため、健全かつ協調的、オープンなAIエコシステムの構築に着手する必要があるとされた。

AIが現実的なイネーブリングテクノロジーに進化するなか、3つのクラスターに属するすべての国に新たな経済成長の可能性がある。成長の鈍化に直面する「フロントランナー」であろうと、リソースに制約のある「スターター」であろうと、AIはコネクティビティの形を再定義する。すべての国が、インテリジェントなコネクティビティに注力することで新たな成長を実現できるはずだとファーウェイ側は主張する。

ファーウェイコーポレートマーケティング部門プレジデントの張宏喜(ケビン・チャン)は次のように述べている。

「今、私たちは AIが主導するパラダイムシフトを目の当たりにしています。GCI 2018 によれば、ICTの発展が頭打ちの状態のなかで成長を続けている経済先進国は、インテリジェントなコネクティビティを活用することで新たな商機を切り拓いています。一方で、一部の発展途上国は新たなテクノロジーを利用して自国の戦略的成長計画を加速するための方策を探求しています」

ファーウェイは今回、「2018年度 世界接続性指標報告書――インテリジェントコネクティビティで新たな成長へ」のほか、「デジタルスピルオーバー――デジタル経済の真の影響力を評価する」「ICTによる持続可能な発展目標に関するベンチマークレポート」など、一連のGCI関連レポートを発行した。

また今年度の GCI では調査対象が50か国から79か国へと拡大した。2015年度以来 2回目の拡大を経て、調査対象国はそれぞれの経済発展レベルに応じて「フロントランナー」(日本含む 20か国)、「アダプター」(37 か国)、「スターター」(22 か国)のいずれかに分類された。

なおランキング1位は米国でGCIスコア78点。以下、シンガポール(75点)、スウェーデン(73点)、スイス(71点)、英国(70点)、フィンランド(68点)、デンマーク(68点)、オランダ(67点)、ノルウェイ(65点)とベスト10が続いた。日本も79ヶ国中10位にランクイン。スコアは100点満点中65点だった。

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