AGRIBUDDY・北浦健伍氏に聞く東南アジア「アグテック×フィンテック」事情

AGRIBUDDY・北浦健伍氏に聞く東南アジア「アグテック×フィンテック」事情

Posted date:2019.04.19

―農業自体の話を少しさせてください。一般的に生産性とコストってバランスしていくものなのでしょうか?

はい。結局、今のところカンボジアではお金を使ってないんです。何もしていないに等しいから、あれは農業と呼ばないんですね。例えば、カンボジアの米の生産性は、1ヘクタール当たり2.5tから3t。ベトナムは6t。日本だと8tです。平均6tというのは、世界的にすごい訳でもなんでもなく、2.5tが著しく低すぎるだけ。理由はちゃんとした種を使っていない、肥料を入れていない、何の手入れもしていないというだけの話です。そこをクリアすれば、2.5tが5tになるのは難しくない。隣の国の平均より少ないですが、それでも生産性が倍になる。一方で達成までのコストは、2倍はかかりません。しかし、カンボジアの農家の考え方は今より1円でも高いならやらない、何故ならお金がないからという考え方になっている。

―インドでは、カンボジアと同じような形でサービスを展開されているのですか?なにか特有な違いなどは?

展開しているサービスは基本的には同じです。インドやミャンマーの方が、村の中のヒエラルキーが強い印象です。カンボジアは内戦で村のヒエラルキーが一度壊れてしまっている。一方、インドなどは何世代にもわたって村の長がいるというような状況が続いていますから。

―インドなどにおいては、機械化は進んでいるのでしょうか。

進んでいません。例えば、機械化はインドよりカンボジアの方が進んでいます。インドはまだ牛がほとんどで、トラクターもまだまだ少ないです。またカンボジアは米の収穫にハーベスターが結構入ってきていますが、インドはまだまだ手作業です。理由としては、カンボジアの方がお金を貸しているからだと思います。そうは言っても、カンボジアの農作物の価格競争力があるわけでありませんし、人件費もそれほど安くありません。

―香港やインドなど様々な拠点がありますが、今カンボジア・プノンペンにいる主な理由は何故でしょうか。また今後の見通しについて教えてください。

機械化はカンボジアの方が進んでいると言いましたが、インドは保険もそうですし、プライオリティー・レンディングという制度があって、各銀行の貸出のポートフォリオの何パーセントを農家に貸しなさいというのが決まっています。いろいろな政策があるが、それがまともに動いていないというのがインド。進んでいるが末端に行き渡っていないという状況です。

アグリバディの仕事は点と点を線で結ぶ仕事だと思っているのですが、カンボジアはそもそも点がありません。何もないのです。政府はそもそも何もしないし、保険商品も自分たちで手作り。そんな何もないところで作ったエッセンスを、インドやミャンマーに持って行くことができるだろうと考えています。

事業としても、まだまだインドよりカンボジアの方が大きい。カンボジアで色々動き出してシステムも出来てきて、試行錯誤してみて、頭で思い描いたものと実際にやれたものとはかなり違う。それを調整しながら、同じ間違いをしないようにしようにインドで進めていこうと。ミャンマーには、今年から進出しようと考えています。

僕は外国人で、いろいろ偉そうなことを言っていますが、実際は何もできません。農家とも話せないし、彼らの気分を持ち上げることも出来ない。行ってニコニコしているだけです。言い換えれば、僕らが話している「こんな世界ができたら良いな」というコンセプトを、本気で信じて動いてくれる現地の人がいないと何もできないのです。

それが、カンボジアではチームが徐々に出来てきている。これは僕がチームをつくったわけでなく、彼らがつくったんです。インドも同じで、僕のアイデアに「それいいね」と言ってくれる人がいたとしても、本気でチームをつくる人間がいないとできません。そういうなかで、トップを張ってチームをつくってくれる人物がようやく去年見つかったので、インドもようやく動き出した段階です。ミャンマーに行く際もそこか課題です。パートナーになるような企業はいるし、ミャンマーに行くといったらお金を出しますというところもある。一方で、農家にも求められています。ですが、本当にそこで根を張ってアグリバディのビジネスで本気で農村の生活を変えようというモチベーションを持ってくれる人、また動いてくれる人がいないと、絶対にワークしません。人とチームをつくるのが、一番の課題になっています。

(取材/写真 河原良治・天沢燎)

※アグリバディの活動についてはこちらも参照

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