地下鉄の駅で高級野菜を栽培...ソウル市「都市型スマートファーム」推進

ロボティア編集部
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Photo by ソウル市

韓国・ソウルの地下鉄7号線・上道駅の2番口の階段を降りると、見慣れぬ光景が目の前に広がる。発光ダイオード(LED)の光が射すガラスで仕切られた空間のなかで、野菜が栽培されているのだ。栽培されているのは、バターヘッドレタス、カイピラなどの高級野菜。延べ面積395m²で規模のその空間は、「上道駅メトロファーム」と呼ばれており、9月27日にオープンした。

ソウル市とソウル交通公社は、IT技術と農業を融合した都市型スマートファーム関連のプロジェクトを推進しているが、上道駅メトロファームもそのうちのひとつとなる。

上道駅メトロファームには、「温度・湿度の自動調節」、「自動水撒き」など、従来のスマートファームに用いられたようなシステムが導入されているが、地下という環境には特有の長所と短所があるという。まず、地上に比べて温度変化が少ない。そのため温度管理が比較的容易だ。一方で、湿度が高く常に除湿に気を使わなければならないという。

上道駅メトロファームには、収穫した野菜をすぐに味わうことができる「ファームカフェ」も併設されており、その場で収穫された野菜を使ったサラダやジュースなどを販売されている。約1時間で作物の栽培、収穫、試食まで楽しめる体験型のプログラムも運営されている。

地下鉄の駅にメトロファームとカフェを一緒に作ったのには理由があると関係者は言う。「未来型の農業を消費者に受け入れてもらうため」だ。また、大学生や若者がスマートファームに接する機会をつくることで、農業分野の創業を刺激するという狙いもある。大学と協力して、メトロファーム内に創業スペースや研究施設を設置する案も計画されているという。

ソウルでは、上道駅以外にも、乙支路3街駅、天旺駅、忠正路駅など、5つの地下鉄駅でメトロファームのプロジェクトが推進されている。より長期的には、車両基地にスマートファームを設置する案も構想されているという。車両基地では、地下鉄の駅よりもはるかに大きな規模でスマートファームをつくれるからだ。さらに、地下鉄駅や車両基地で栽培された作物を地下鉄に乗せて運ぶといった案も浮上しており、これは物流費や農産物の価格を下げる実験の一角とされている。

なお地下鉄駅で育てられる作物の多くは外国から取り寄せられた高級品種で、レタス、白菜など一般的な農地で育てられている作物とは少し異なるという。これは、スマートファームの拡大に反発する農家に配慮したものだ。

ソウル市の関係者は、スマートファームが拡散し高級野菜の消費が増えれば、国内でも同品種を開発しようとする農家が増えるだろう。結果的に国内産業の成長に資することができればうれしいとメディア取材に答えている。