韓国の研究チームが、睡眠ポリグラフ検査など脳神経生理信号分析に人工知能を活用することができる可能性を確認した。8月26日、盆唐ソウル大学校病院とソウル大学工科の共同研究チームは、脳波検査にディープラーニングモデルを採用。睡眠状態を自動的に分析するためのアルゴリズムを開発したと明かした。
脳波は、体外から測定できる中枢神経系の生理的マーカーとしては唯一のもので、神経系疾患の異常反応を測定するための重要な指標として使用されている。脳波検査は睡眠ポリグラフ検査にも活用され、「覚醒状態」、「レム睡眠」、「ノンレム」など意識状態を区別する上で重要な要素となっている。
しかしながら検査には長い時間がかかり、さまざまな基準を同時に適用するのが難しく、患者と医療スタッフにとって大きな負担であった。
研究チームは、既存のマシンラーニングを通じた脳波分析モデルよりも高度な「CNN」(Convolutional Neural Network)と、再帰型ニューラルネットワークである「LSTM」(Long-Short Term Memory)を同時に適用した混合アルゴリズムを適用した。
CNNは主に画像解析、LSTMは主に時間の経過に伴う観測値の分析である「時系列分析」に使用される。
盆唐ソウル大学校病院では、健康的な小児218人の正常脳波を分析。約3万5000あまりの脳波分析例について、3人の熟練した神経科医がそれぞれ睡眠段階を区分した。ソウル大学工科大学では、その資料やデータをもとに睡眠段階を自動的に分析するアルゴリズムを開発した。脳波専門家3人が分析した資料と突き合わせた結果、約92%と高い精度で睡眠段階を区別することに成功。肉眼での区別が最もしやすい覚醒状態の精度は96%となった。
研究チームは、長年の修練や専門性が必要な脳波分析に人工知能を適用すると、人的エラーを最小限に抑えることができるとし、今後AI高度化に伴い脳波分析の効率や質向上が期待できると説明している。同研究結果は、IEEEの学術誌である「IEEE Access」7月号に掲載された。
Photo by 盆唐ソウル大学校病院