高齢社会に突入した韓国で、生活習慣病の代名詞ともいえる糖尿病患者が急速に増加している。現在、韓国国内の糖尿病患者数は330万人以上。 30歳以上成人のうち10%に該当する。韓国では、糖尿病は「国民病」としてごく身近な疾病となりつつある。
糖尿病や糖尿病合併症は一度かかると、完治しない。糖尿病患者には、食事療法や運動療法による徹底的な栄養管理がなされる。きちんと管理しなければ、深刻な合併症を招きかねないためだ。ひとたび糖尿病にかかると、高額な医療費がかかる。糖尿病患者の医療費は平均医療費より4.6倍も高いという。
韓国では、糖尿病患者にかかる医療費は年間6兆ウォン(約6000億円)台と推算されるが、これは全医療費のうち10%に達する水準だそうだ。しかし、糖尿病予備軍の段階で防ぐことができたら、この医療費を大幅に削減できる。韓国人口のうち、糖尿病予備軍に該当する人口はおよそ600万人。ゆえに、糖尿病予備軍を対象とした検診はもちろん、予防市場やサービス拡大が切実になっている。
バイオセンサーの専門企業である株式会社アイセンス(i-SENS,Inc.)とデジタルヘルスケア企業の株式会社ヒュレイポジティブ(Huraypositive)は、ともにマムズセンス(Moms sens)を開発。これは数ある糖尿病のうち、妊娠性糖尿病の管理をサポートする製品だ。
妊娠性糖尿の場合、全体の糖尿病のうち10.5%に達するという統計がある。妊婦10人のうち1人は妊娠性糖尿病患者だというわけだ。また、妊娠性糖尿病患者は11万人と推定されている。妊娠中のホルモンバランスの変化の影響で一時的に発生するもので、経口薬を投与することができないということから、より徹底した管理が求められる。
マムズセンスは、症状の診断を受けた時から出産まで、毎日定期的に血糖数値を記録するのに合わせ、管理のための情報を提供する。パッケージにはアイセンスNFC血糖測定機が含まれている。センサーを利用して血糖を測定すると、その結果は直ちにBluetoothを通じてマムズセンスアプリに自動転送・記録される。
マムズセンスはこの数値を分析して7段階で評価する。データは血糖値や食事など様々な分析を経て、週ごとに管理される。また、食事の間隔や日常のどこで管理がうまくできないのか、生活で改善しなければならない細かい部分まで、グラフなどによって一目でわかるようになっている。
ヒュレイポジティブCEOであるチェ・ドゥア氏は「妊娠性糖尿病は治療法を誤れば、胎児にも合併症を発生させる恐れがあるだけに、妊娠期間中に血糖調節は必須」と語る。
昨年に日本で発表された、厚生労働省の「患者調査」によると、日本国内の糖尿病の患者数は316万6000人となり、前回(2011年)調査の270万人から46万6000人増えて、過去最高となった。医療費も増加も他人事ではない。日本でもモバイルデバイスの医療機器への研究開発が進んでいるが、今後、普及が期待されている。