AI技術を利用した中国の医療プラットフォーム「平安グッドドクター」とは

ロボティア編集部
ロボティア編集部

■自費診療の多いタイへ進出…日本上陸の可能性は!?

海外進出で収益性を改善させたい平安GDだが、8月に入って動きがあった。“東南アジアのUber”と呼ばれる同エリア最大の配車サービス・Grabとの提携を発表したのだ。まずはタイ、そしてシンガポールやマレーシア、インドネシアでGrabと組み、中国と同じ医療プラットフォームの提供を目指すとしている。

Grabは配車サービスとしての側面がクローズアップされがちだが、オンライン決済インフラとして見ることもでき、加えて最近では食品や雑貨の配送サービス、貨物宅配業務も始めている。東南アジアで莫大なユーザーを抱えるだけに、こうした利用・購入履歴などパーソナルデータを活用するのが早道だと平安GDをは考えたのだろう。

王濤氏は前掲メディアのインタビューで、「タイの医療はほとんど自費診療で、医療機関は高度に市場化されている。我々が有効なサービスを提供できれば、多くの手数料収入を得ることができるだろう」と述べている。現在、中国で平安GDは公的医療保険制度の枠内でのサービス提供にとどまっており、ユーザーや病院から徴収できる手数料は限られているという問題があるからだ。

東南アジアは6億人の人口を抱え、医療制度で中国と同じような問題を抱えている国も多い。平安GDとGrabとの提携は、親会社の平安保険グループにとっても大きなメリットとなるだろう。一方、平安GDと似た医療プラットフォームを提供するインド・Practoは数年前から東南アジアやブラジルを含む世界15か国に進出しており、手強いライバルになるという見方もある。ただPractoは医師(病院)とのアポイントメント機能に特化しており、平安GDのような複合化したサービスを提供できていないのも事実だ。

さて、日本への進出についての可能性はどうか。すでに平安GDは近鉄グループと提携して日本製のサプリなど健康食品を越境ECサイトで販売することが決まっており、親会社の平安保険グループも、ツムラと資本業務提携を結び筆頭株主となり中国で漢方薬の製薬事業を行う合弁会社を設立している。未病データベース構築のためではという憶測もあるが、いずれにせよこれらは中国での事業拡大のための施策であり、日本進出の動きは見られない。

2018年4月に診療報酬が改訂され、日本でも事実上、オンライン診断が解禁とはなっている。だが、ざまざまな制約があり運用ルールはかなり厳しい(対面診断の補完を前提とした制度で、アレルギー科や皮膚科など、オンライン診断の需要が多いものが除外されている)。