スイスの産業用ロボットメーカー・ABBが、人工知能スタートアップ・Covarientと提携。EC企業の物流センターでさまざまなタイプの商品をピッキングすることができるAIロボットの開発を進める。
Covarientは2017年に、Pieter Abbeel氏(UCバークレー教授)などが共同で設立。近年、オーストリアの物流自動化会社・Knappやドイツの電気部品メーカー・Obetaにピッキング用AIロボットを供給し注目されている。
ABBとCovarientは、ECの活性化に伴い、物流倉庫や商品配送センターにおけるピッキング作業用ロボットの需要が大幅に増加すると予測。技術開発と事業化を共同で進めるという。市場調査会社・Statistaのデータは、EC企業の売上高が今後5年間50%以上増加し、2020年1兆8400億ドルから、2024年2兆8200億ドル規模まで成長すると見込んでいる。一方、Beroeによれば、EC企業の配送センターに配置される知能型ロボットなど自動化市場も年平均4〜5%成長し、2021年までに556億5000万ドルに達すると予想している。
現在、ほとんどの物流倉庫の運営は労働集約的に行われており、働き手不足の上、作業環境や条件の向上に課題を抱えている状況だ。物流企業およびEC企業は、中長期的に物流倉庫作業の自動化を進める潮流が現れ始めている。
Covarientは試行錯誤を繰り返すことで、さまざまなタイプの商品をピッキングできる技術を確保した。一方、ABBは50年近く多くの産業分野で蓄積した自動化技術およびノウハウを保有している。両社はそこに生まれる相乗効果に期待を寄せている。
Photo by Covarient HP