アルゴリズム(algorithm)とは、問題を解決するための順序付けられた手順を指す。コンピュータを動作させるためには、関連する情報をどのように入力し、入力された情報をどのように処理し、得られたデータをどのように出力して表示するかなどのアルゴリズムをプログラムしなければならない。
これまで、アルゴリズムは人間が作ってきた。しかし、最近では人が作った人工知能(AI)がその役割を代行し始めた。様々な分野で人工知能が活躍中だが、最近大きな話題になっているのが音楽の分野だ。人工知能が作曲した「アルゴリズム音楽(algorithm music)」が音楽市場に影響力を発揮し始めた。
オーストラリアのIT専門誌「ギズマグ(Gizmag)」の報道によると、米カリフォルニア大学で非常勤研究者として活動しているデビッド・コープ(David Cope)教授は、1981年から同大学の研究室で「アルゴリズムミュージック」を作曲してきたという。そのキャリアはすでに30年におよぶ。
これまで彼は「アルゴリズムミュージック」をテーマに、10数冊の著書を出版した。また、各種メディア数え切れないほど多くの寄稿しコンピュータ音楽について紹介してきた。彼が作曲した音楽は非常に多様である。
デビッド・コープ教授は、有名作曲家たちの伝統的な作曲技法をそのまま模倣することに努力を傾けてきた。そしてそれを人工知能の中に入力し続けた。現在では、人工知能が有名作曲家たちよりも強力で影響力のある音楽を作曲できるというのがコープ教授の持論である。というのも、人工知能は作曲家と比べ“体力的”に優れているというのだ。
通常、人間が交響曲をひとつ作曲するのに要する歳月は数ヶ月から数年におよぶ。しかし、人工知能は声楽曲、器楽曲はもちろん、協奏曲全体を15分程度で作ってしまう。 5〜6歳のときに作曲を始めたというモーツァルトの天才的な作曲能力を、時間的にはるかに凌駕することができるという説明である。
デビッド・コープ氏が作ったアルゴリズムミュージックのひとつ
もちろんAIが作曲した交響曲は完全という訳ではない。むしろ、人間が聞くに堪えない曲が生まれる場合もあるだろう。しかし、欠点を補完していくならば、技術的、確率的に新しいパターンを作成することもできる。コープ教授は「人工知能を通じて時間とエネルギー、コストと労力をはるかに減らすことができる」と主張する。
最近になって、人工知能音楽が注目を浴びているのは、学習する人工知能「ディープラーニング(Deep Learning)」が出現したためである。ディープラーニングを適用すれば、音楽を生み出す能力が飛躍的に発展し、不況にあえぐ音楽市場に活力を吹き込むことになるかもしれない
最近大きな注目を浴びているディープラーニング適用技術は、「コンボルショナルニューラルネットワーク(CNN; Convolutional Nerual Network)」だ。CNN技術の発展は驚くほど速い。音楽をヒップホップ、ロック、ポップ、エレキなどを区分して、各グループごとに学習していくことができる。学習が可能であることは、音楽を変形させて新しい音楽を作りだすことができるということを意味する。
現在、音楽ストリーミング企業「スポティファイ(Spotify)」がCNNに大きな関心を寄せていることが明らかになっている。スポティファイは有名作曲家、IT専門家などを会社に招待し共同開発を行い、その結果を公開して世界を驚かせた。
スポティファイはCNNを導入して、類似した特徴を持つ音楽を集めプレイリストを作成し、利用者に推薦する計画を進めている。スポティファイのほかにも、パンドラ、グーグルなどIT企業がCNNに深い関心を持っていることが知られている。特にGoogleは、自社のストリーミングサービスである「プレイ・ミュージック(Play Music)」に、CNNを適用しているものと推定されている。今後人工知能を活用した「ストリーミングミュージック」技法がどのように発展していくのか、音楽業界をはじめ、世界の音楽家たちが関心を寄せている。
(ロボティア編集部)