イランがヒューマノイドロボット・スレナスIIIを公開

ロボティア編集部2015年11月23日(月曜日)

 テヘラン大学のイラン人研究者が、スレナスIIIという名の最新ヒューマノイドロボットを発表した。デモンストレーションでは、大人ほど大きさのロボットがステージを横切ったり、人の腕のジェスチャーを模倣したり、片足で立つ様子が披露された。

 スレナスのプロジェクトを牽引するのは、アジール・ヨセフィ-コマ教授氏(Aghil Yousefi-Koma)。教授は、スレナスIIIが二足歩行、人間とロボットの相互作用、およびロボット工学の諸課題を探求するための研究プラットフォームとして設計されていると説明している。また教授は、スレナスが平和を方向づける技術進化の象徴となり、学生や一般市民にエンジニアリングの重要性を示す存在になることを期待している。

 スレナスIIIは、イランイノベーション協会などから資金提供を受け、研究・開発が進められている。すでに歩行、階段のスロープを下降、地面の凹凸に適応、対象を把握、またサッカーボールを蹴るなどの機能を有しているという。

 教授と研究グループは今後、人間とロボットの相互作用の研究に焦点を当てたいと話している。また、より自律的に動くヒューマノイドロボットを実現させる計画で、スレナスIVを念頭に置いて論文の準備中だという。

 イランをはじめとする中東は、長きにわたる戦争やテロ組織の暗躍により悲劇が生まれ続けている。戦場では自動化された兵器で死亡する者も少なくない。アジール教授が平和に資するロボットを作りたいと語る背景には、科学技術がもたらす暴力の影が見え隠れする。そんな中東で、平和のためのロボット研究が進んでいるという状況は注目すべきだろう。

 なお米IEEEは、米国防省傘下DARPAが主催したロボット競技会(DRC)に参加した他国のロボットと比較した時、スレナスIIIの能力は限定されているとしている。一方で、イランのロボット技術の進歩を客観的に評価しおり、他のロボット先進国の技術に近づきつつあるとも指摘している。

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