中国のロボット産業が瀋陽市を中心に飛躍的発展

ロボティア編集部2015年11月24日(火曜日)

 中国のロボット産業は瀋陽市を中心に飛躍的に発展しているが、供給の方は国内需要の30%程度にとどまっており、各国メーカーの絶好の機会と考えられている。

 KOTRA(大韓貿易投資振興公社)によると、中国は都市化、高齢化などの要因で、世界最大のロボット市場になる見通しだ。だが、自国産ロボットの市場シェアは30%に過ぎず、また核心的な部品は輸入に依存している。中国は瀋陽市の中心に産・学・研の協力モデルを構築し資金を投じるなど、状況克服を進めようとしている。

 2014年8月8日、中国国務院は国有企業改革、科学技術の革新、産業の競争力の向上、都市化、インフラ建設などの11部門を骨組みとする「東北地域振興に関するいくつかの重大政策措置意見」を発表した。

 同政策では、東北地域のロボット産業など特色ある新規事業が強調されたが、これに則る形で瀋陽市政府が「瀋陽市-人民政府ロボット産業の発展と科学技術の革新支持実施意見」を提出した。その後、ロボット産業は瀋陽市の最も重要な発展産業となった。

 これを受け、瀋陽素材、東北大学、中国科学院自動化研究所、新松機器人自動化股份有限公司が中心となり、東北大学ロボット科学院を設立。300人の技術者を輩出し、リソースを瀋陽市のロボット産業に集中する計画だ。また、工業ロボットの知能機器産業を発展させ、2017年までにロボットの消費量を1万台以上、ロボット機器および部品の輸入は200億元以上を目標としている。

 瀋陽市のロボット産業は急速な成長を遂げている。昨年のロボット産業関連の輸入は、一昨年に比べて42%成長し、今年上半期は前年同期比で40%増加している。瀋陽市は今年、ロボット支援政策を設け、200億元規模の産業発展基金を用意しながら、さまざまな社会資本を誘致。世界的なロボット産業基地の建設に力を入れている。今年9月1日には、「中国瀋陽ロボット展」が初めて開催されるなど、ロボット産業関連イベントも活発に行われている。

 今年、瀋陽市遠大グループは、中国初のロボット加工検知システムの研究開発に成功した。同技術は、大型で複雑な曲面加工領域での革新的な技術として業界の注目を集めた。遠大グループが開発した工業ロボットは、工業現場における高い効率化と自動化を目標にし、船舶用プロペラ、航空機エンジン送風機の翼研磨、大型製造物の塗装及び溶接などに使用される。

中国産業用ロボット統計

 瀋陽市に新松機器は、中国内のロボット産業の大手企業であり、サービスロボットを中心に工業ロボット、掃除ロボット、移動ロボットなどの様々な製品ラインを揃えている。今年5月には、瀋陽内のレストランでサービングロボット(ロボットウェイトレス)を初めて披露し、民間領域へのロボット進出を加速させている。

 また、新松機器は「科学技術部ロボット産業技術革新戦略連盟」を牽引している。同連盟は2014年8月に設立され、1年で約50個の企業が加入した。真空ロボット、介護ロボットなどの分野で革新的な成果を上げており、同時に知能型ロボットの開発に重点を置いて、視覚研究、安全性の向上などの研究に邁進している。

 中国では、都市化、高齢化が進み、医療・教育の需要が増加している。また、人件費の上昇で製造業分野における工業ロボットの導入は必須となった。国際ロボット連盟(IFR)が「2018年までに、中国の工業ロボット設置量が世界総量の3分の1を占めるようになる」と指摘しているように、今後、世界最大のサービスロボットの消費市場になる見通しである。

 遠大グループグループと新松機器を中心とした瀋陽市のロボットの企業は、新製品および新技術の開発に余念がない。しかし、それでも中国国内市場における中国産ロボットのシェアは30%に過ぎず、核心部品は輸入に依存しているのが実情である。

 このような状況を克服するために、独自の開発技術を持つ上海英集斯、南京埃斯頓、新松機器など中国内の大手企業が、自国内・外の大学・企業と積極的な研究協力を進め、国内の技術を発展させなければならない課題を抱えている。

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