インドに押し寄せるロボット化の波。その"浸食"は先進国さながら

ロボティア編集部
ロボティア編集部
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モディ首相は、9月に行ったキャンペーンで、人口の65%が35歳以下であるというインドの「最大の強み」について言及した。ただ、その人口に分類される人々は、期待された通りの分け前にあずかれない可能性が高い。例えば、インドの労働人口の急激な増加は、公共セクターの労働需要増加のスピードより圧倒的に早い。労働リサーチ機関・ジャストジョブス(JustJobs)の報告によると「おおよそ、1年間に労働需要が100万件増えるスピードに対して、労働人口は1カ月に100万人増えている」そうだ。今後、企業の工場で、モディ首相が期待している以上の数と種類の雇用が生まれるかどうかは定かではない。

「あなたが100件の新しい仕事を生み出す考えで、今日工場を建てたと仮定しましょう。その後、10年の間に新しいテクノロジーが採用され、あなたが期待した仕事の数の10~20%にとどまるでしょう」

日本車を生産する工場で労働者の減少を目の当たりにした三菱電機のインド工場オートメーション部門の横山誠氏はそう指摘する。

「ロボットが仕事を奪わないと言えば嘘になるだろう」

そう話すのは、世界最大のロボットメーカーのひとつであるファナック社のインド部門を率いるソナリ・クルカーニ(Sonali Kulkarni)氏だ。

「ただ、人々が意欲的にこなす仕事は例外です。人間には、マシーンや溶接機が機械的に積み下ろしするよりも、多くのことを行う能力がある」

インドには、約2億8700万人の文盲者がいる。それは、中国と米国を除く他のすべての国の人口に匹敵する。“より多くの能力”を発揮するためには、その状況を打破しなければならない。

国連のデータによると、インド成人が学校教育を受けた年数は、平均で4.4年間となっている。これは、アジアの主要途上国中で最低の水準である。また、技能評価企業であるアスパイアリング・マインズ(Aspiring Minds)の研究によると、年間500万人におよぶ学士学位取得者のうち、半数が雇用されないという状況もある。これは、認知および言語スキルが低いせいだと言われている。インド最大のエンジニアリング会社であるラーセン&トゥブロ(Larsen & Toubro)社は、新規採用者をいちから養成することを余儀なくされている。

「インドのような多くの新興市場の課題は、低コストの仕事を作らず、人々の潜在的なちからをより広く、より良い教育を通じ引き出し利用することです」

エマージングマーケットという言葉を作った元世界銀行のエコノミストであるアントニー・バン・アグトマエル(Antoine van Agtmael)は、そう指摘する。