米ロボットセンター長が語る世界ロボット市場6つのトレンド

ロボティア編集部2015年9月28日(月曜日)

米メリーランド大学傘下のロボットセンター(Maryland Robotics Center)で所長を務めるサティエンドラK.グプタ氏(Satyandra K. Gupta)は最近、個人ブログにグローバルロボット市場の6つのトレンドを掲載した。

その1.商業ロボット投資活動

最近、民間部門で活発なロボット投資が行われている。Googleが多数のロボット会社を買収しており、Amazonも「キバ・システムズ」を買収、社名を「アマゾン・ロボティックス」に変更した。また、米通信会社クアルコムも、ロボット分野に積極的に投資している。先週、日本のトヨタ自動車は、AIとロボティクス分野に大々的に投資すると発表した。

これまで、ロボット産業にあまり関心がなかったベンチャーキャピタルも、ロボット分野のスタートアップに投資を拡大している。ロボット技術が新しい分野に応用され、技術発展スピードが高まっており、爆発的な成長を促す好循環な構造が作られはじめている。

その2.新しい国際的プレイヤーの浮上

伝統的に、ロボット大国と呼ばれてきたのは、日本、米国、そして少数のEU加盟国であった。しかし最近では、中国、韓国などロボット新興国が浮上している。特に中国が産業用ロボットの市場として顕著な動きを見せている。低コストで作った産業用ロボットを打ち出し、グローバル市場を牽引しようとする動きがある。また、中国DJI社は、グローバルドローン市場で圧倒的な活躍を見せている。

韓国は、米国国防省傘下DARPAが主催した災害対応ロボットコンテストで、米国、日本などを抜いて優勝した。スイス、オランダ、アラブ首長国連邦などなどの国では、人工知能、ドローン、ロボット分野に積極的に投資している。ロボットのグローバル化は、伝統的なプレイヤーのリーダーシップに、新たな課題を投げかけている。

その3.ハードウェアのコストダウン

ドローン、モバイルロボットプラットフォーム、マニピュレータなどの産業用ロボットの製造コストは民間セクターで大幅に減少している。加えて、ドローンとロボットの用途も拡大している。特に農業セクターは、ロボットと無人航空機(UAV)の重要な市場として浮上している。

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photo by goldberg.berkeley.edu

その4.民間領域のドローン人気急上昇

民間領域で、世界のドローン市場が急速に拡大している。しかし、残念ながら、これらのロボットは、サイバーセキュリティの面でかなりの脆弱性が指摘されている。最近の自動車ハッキングに関する研究で見られように、自動車のハッキングの可能性は高まっている。新しいサイバーセキュリティ技術の開発と適用が必要な状況だ。サイバーセキュリティの脆弱性が新たな産業として浮上しているドローン市場に、致命的な影響をもたらす可能性が存在する。

その5.クラウドロボット

ロボットはリアルタイムで発生する各種データや情報をクラウド環境で処理可能になる。クラウドがロボット産業の新たな“テコ”として作用している。クラウドロボットは、以前には、処理できなかった制約事項から自由になる可能性を秘めている。クラウドがロボットの頭脳の役割を果たすのだ。様々なセンサを備えたロボットは、膨大なデータを入出力しており、ロボットコミュニティはこれらをビッグデータとして包括しはじめた。

その6.ソーシャルメディアデータの活用

ロボットがソーシャルメディアデータにアクセスしマイニングする、ディープラーニングのような人工知能技術を活用している。ソーシャルメディアデータの受け入れは、ロボットが周囲の環境を理解することができる「認識」の能力を飛躍的に高めている。ソーシャルメディアは、ロボットが新しい技術を習得するのに重要なソースになることもある。

(ロボティア編集部)