ロボット大国・日本の学会と産業ロボット研究

ロボティア編集部
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photo by triad

 冒頭に申し上げた「それほど活発ではなかった」という意味は、そのような学問としての研究と実用化開発の間のタイムラグが関係しています。ロボットの実用的な利用のためには技術を枯らして信頼性を追求する必要がありますが、一方、新規性を追求する学問的立場からは、枯れた技術は、研究対象としての評価を得にくいという背景がありました。

 しかしながら、産業分野の自動化の広がりに伴い、より飛躍的な技術が求められる段階が来ました。これまで産業ロボットは、主に自動車産業などの重工業分野で使用されていたのですが、さらに他の産業にも応用しようという動きがあります。例えば、食品加工業とか、繊維業界などです。ここでは、より柔らかい素材など、ロボットが扱うのが苦手とされてきた分野への適応を迫られています。

 そこには、素材に対する触覚機能や、不定形形状の認識などが含まれ、ワイヤー、ハーネスなど不定形部材を器用に配置したり、結んだりするような作業が求められています。さらに、不定形物を対象とした作業をどのようにロボットに教えるかという点も、注目されている技術分野です。最初の動作を精密にコントロールすることが第一段階、90年代後半から2000年代にかけての視覚センシングの実用化を第二段階とするならば、これは第三段階と言うことができるかもしれません。この第三段階になると、研究すべき要素はまだまだ多く、学会の発表もこのような分野で活性化しています。

 加えて、使う側に優しい産業ロボットの開発も望まれています。先に申し上げた通り、これまでの産業ロボットは使う側に使いこなすスキルや資本が必要とされていました。ある意味、使う側の負担があればこそ成立していたと言えるでしょう。

 今後は、中小企業等に広く産業ロボットの利用が普及するように、「スキルを持たなくても使えるためにするためにはどうすればよいか」という点を、解決していく必要があります。

―欧米ではすでに、中小企業向けの産業ロボットが加速しているという報道が目立ちますが客観的にどうご覧になりますか?

 これまで、世界各国の中小企業で産業用ロボットの導入はそれほど進んでいなかったと思いますが、最近話題のIndustry 4.0では、もともと中小企業の活性化に力を入れていたドイツが、工場のデジタル化を推進する中で、中小企業での産業ロボット利用普及のテコ入れを初めていることが新しい流れとして注目されています。アメリカも同様な動きを始めており、ドイツと手を組んで、世界的な標準化を図る動きがあります。

 現状、日本はこの流れに対しあまり積極的ではなく、世界的に後れを取るのではないかと懸念されます。一方、日本のお家芸であるロボットを活用したリアルなもの作りのノウハウは、容易にデジタル化できないものであり、そこに日本の勝機があるように思われます。