テロの傷を克服して舞台へ、足を失ったダンサーと科学者の挑戦

ロボティア編集部
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 ヒュー・ハー

 そんなダンサーとしての彼女の足の感覚を取り戻すべく、技術者たちも協力を惜しまない。MITヒュー・ハー(Hugh Herr)教授は開発を続けてきたバイオニクス義肢を、エイドリアンさんに提供。その電子義足は、使用者の動きに合わせて自然な動きを再現するように作られているという。ハー教授は自身も17歳の時に、登山事故による凍傷で両足を失っている。それから、34年間、人間の動き“より”もすぐれたバイオニクス義肢を作ることに専念してきた。

「バイオニクスは私の体を定義しています。1982年に私は両脚を失いました。(中略)その当時、私は自分の体を壊れたものとして見ませんでした。人間の身体は決して壊れるはずがないと考えたのです。壊れているのはテクノロジーの方で、技術が不十分だったのです。このシンプルで強力なアイデアが動機となって私は技術を進展させ、自分の障害や他者の障害をもなくそうと心に決めたのです」(TED:ヒュー・ハー: 走り、登り、踊ることを可能にする新たなバイオニクス義肢より)

※日本語字幕版はTED公式サイトで確認できます。

 ハー教授の義足の最新モデル「バイオM(BioM)」は、電磁石の電流を利用して自然な足首の動きを、またモーターがふくらはぎの筋肉の動きを再現する。足を失った人々の歩行はもちろん走行までサポートし、ハー教授自身はその義足でロッククライミングもこなす。

 なお、ハー教授がエイドリアンさんに提供した義足は25万ドル(約3000万円)相当の価値を持つそう。まだ一般に普及するのは難しい状況と言えそうだが、エイドリアンさんのように、繊細な足の動きを望む人々やアスリートたちにとって、非常に重要な研究となりそうだ。

(ロボティア編集部)