夢物語でロボットは作れない、日本の学会とロボット研究

ロボティア編集部
ロボティア編集部

福島原発
photo by geek.com

 その後に震災が起き、「なんであの時に作ったロボットが使えないんだ」との非難があがりました。ですが、当時の日本にはその防災ロボットを使える人材がいなかったし、ロボット自体も現場を想定してブラッシュアップされていませんでした。

 さきほど申し上げましたが、米国の場合、陸軍や海軍が徹底的に使いこなしている上に、現場での使用の知見に基づき改良が重ねられていました。その結果、例えば、建物の2階から投げ落とされても、ミッションを遂行できるタフさを備えています。

 大学だけで作られたものは、当然、製品として磨かれていません。企業が技術移管を受け、現場で鍛えて、何回も作りなおさないと、使えるものになりません。加えて、いくら技術開発しても扱える人材がいなければ無用の長物です。

 そんな危機感もあり、私どもロボット学会の方でも震災後に経団連の産業技術懇談会(COCN)で、防災ロボットの運用に関する施策を提言し、政府に対して答申する活動を続けてきました。例えば、福島で防災ロボットセンターを作り、そこで定期的にロボットを買い取って、訓練し、同時に使いこなす人材をプールする。実用化研究を続けて、使えるものにしていくという政策です。そこに政府がしっかりと資金を投じて、ビジネスとして回す必要があると考えます。経済が回れば、ロボットメーカーも対応できる。それには対応する組織が必要ですし、規制緩和も重要な課題となります。

 また防災ロボットは、基本的に遠隔操作型であり、無線操縦は必須条件です。ところが、日本では電波法の現在の枠組みの制約で信頼性の高い無線操縦が出来ませんでした。一方、米国は軍事用途に無線を使え、電波の許容出力電力が一桁くらい違います。しかし、現在、総務省も動き出していて、ロボット運用に向けた共用無線周波数帯域の確保の議論が進んでいます。

 そのように、経済的、人的、法的インフラを整備しなければ、ロボットの実用性能が向上するといことはありえません。学問的な話とは少し距離があると思いますが、大学で良くある「こんなものを作ってみました」というレベルでは、世の中に出ないし、役に立たないのです。産業ロボット以外のロボットにとって、世の中で使える環境をどのように整えていくかという点は大きな課題だと思います。