夢物語でロボットは作れない、日本の学会とロボット研究

ロボティア編集部
ロボティア編集部

ロボットの夢
photo by vivelesrobots-education

―人工知能をはじめとするソフトウェアや情報産業の方はすでに、人材確保や企業の投資が目まぐるしいという報道があります。

 実際、情報(IT)産業の場合、海外企業が日本の大学の研究室に資金提供する話が増えています。ただし、ロボット分野とは状況が異なります。まず、情報産業においては、半導体などの性能が1.5から2年毎に倍になる、ムーアの法則などが有名で、産業全体を支えるデバイス技術が、指数関数的に発展するとされています。そのため、ビジネス全体がスピード命という発想になっています。このため、大学の優秀な若手人材を集めることで成果があがる構造になっています。

 一方で、ロボットの機械技術はそう劇的に発展しません。そのタイムラグが、ロボット産業と情報産業の教育、研究分野に対する投資スタンスの差になっていると思います。

―ロボットは総合技術であるとよく指摘されています。情報産業が得意とする人工知能も、ロボットの発展に欠かせません。今後、人工知能などを含めた技術は、社会にどのような影響を及ぼすと思われますか?

 人工知能の分野は数十年にわたり挫折と流行を重ね、昨今、新たな段階に入ったと思います。画像認識や検索システムの高度な技術は大きな発展を遂げており社会で有効に使われ始めています。その点については、専門家に話を聞くのがベストだと思います。

 科学技術には正と負の側面があり、個人的には人工知能についても気になる点がいくつかあります。まず、人工知能を搭載したロボットが世の中に普及すれば、バラ色の未来が待っているという意見があります。3K業種など単純労働はロボットがこなし、人間は創造的な仕事に就くことができる。つまり、人間を創造的な存在に昇華させるのがロボットの役目だというわけです。

 しかし、すべての人が創造的な仕事をしたいのかというと疑問です。創造的な仕事しない人は価値がないと言われる社会が到来することもありそうな気がします。ある作業を地道に淡々とやることが好きな人もいるでしょう。そのような人達が「そんなことやる必要ない、いつも斬新で創造的でいろ」と言われれば、幸福とは言えないと思います。

 また、創造力の発揮を求めるのは、ある一面では、効率化、利益の拡大を求める側の理屈のようにも思えます。人工知能の発展により生み出された価値を社会に再配分するシステムが構築されなければ、経済格差の拡大などの社会問題につながる可能性もあるかと思います