夢物語でロボットは作れない、日本の学会とロボット研究

ロボティア編集部
ロボティア編集部

自動走行車 

最後に、産業ロボットや防災ロボット以外の分野について、開発・研究がどうように進んでいるか現状を教えてください。

 まず代表的な分野としては、自動走行が挙げられるかと思います。2020年位までに実用化を目指すということで、日本の自動車各社も一斉に動き出しています。カリフォルニアでは、州法で無人自動車を走らせることができるようになっています。一方、日本の場合は道路交通法を改正しなければなりません。現実的には、海外で実用化が始まり、その圧力で国内の法整備が動き出すのではないかと思います。自動走行の技術自体は、30年以上前から研究されてきた技術ですが、学会では実用化のためにどうすればよいかという議論に発展している状況です。

 医療用ロボットについては、ダヴィンチのような手術支援ロボットが、アメリカのベンチャーや、大学で盛んに研究が行われています。日本でも大企業を中心に開発が行われていたのですが、最終的に人が死亡した際のリスクが取れないということで断念したという経緯があります。そのため、同分野はビジネス的に米国に負けていると言えます。ただし、大学の研究は日本でも活発に行われています。マイクロマシーン技術、再生医療と関係した部分は非常に進歩しています。

 また、高齢化については二つの側面から議論がされています。一つは、年をとった人も働ける社会を作るべきであり、その支援手段としてロボットを使えないかというものです。すなわち、パワーアシスト、スキルアシスト、センシングアシストなどマンアシスト的な要素を持った技術を開発して、高齢者の社会参加を促すという方向です。

 二つ目として、働けなくなった人たちを支援するロボットの開発が進められています。こちらは、価値が生まれにくい分野ですので、企業主導のビジネスとして成立させるのは難しく、国が予算を組んで関与する必要があると思います。同様に、防災も国が支援をすべき分野に入ると思います。いずれにせよ、それらに必要な技術のベースは大学で研究が進められていますが、具体的な実用化施策とともに普及を前提とした研究開発をより促進する必要があるでしょう。

(取材・文 河 鐘基)

細田祐司

 細田祐司氏。日本ロボット学会事務局長。日本ロボット学会は学問領域の進展を目指し、研究発表と技術交流の場を専門家に提供することを目的に、1983年1月28日に創立されました。2014年12月現在、正会員、学生会員の数は約4,100名、賛助会員数は68団体となっています。

 事業の概要として、学術論文とロボットに関連する最新の状況の解説記事の特集を収録した「日本ロボット学会誌」、欧文誌 “Advanced Robotics”の発行、「日本ロボット学会学術講演会」、「ロボティクス・シンポジア」の主催,ロボティクスに関する新しい分野や基礎的な内容を対象としたセミナーなどの企画・開催、論文賞,実用化技術賞,研究奨励賞等の賞を設けることでロボットに関わる分野の学問・技術の奨励、そしてロボット関連の研究専門委員会の活動の支援を行っています。また、国内外の学会等と協力してシンポジウムなどの開催も行っています。IROS、RO-MAN等の国際会議もこれに含まれます。