人間の行動を見守り間違いを指摘するロボット「ウォッチボット」

ロボティア編集部2016年1月16日(土曜日)

  これまでロボットは、人がの指示に従って仕事をしてきた。これからは、人間がロボットの指示を受ける時代がくるかもしれない。

 米スタンフォード大学(Stanford University)とコーネル大学(Cornell University)の共同研究者たちは、人の行動を見守り、間違いを指摘するロボット「ウォッチボット(Watch-Bot)」を開発した。同ロボットは三脚の上に配置され、ビデオゲーム機用動作認識装置「キネクトV2(kinectV2)」と監視カメラ、レーザーポインターが搭載されている。

 動作原理としては、人の行動を見て学習、人が普段と異なる行動を取ると知らせてくれるというものだ。例えば、人間が冷蔵庫から飲み物を取り出し、カップに注いで飲む。するとウォッチボットはこの動作を観察し学習する。次に、もし人が飲み物を飲んだ後、残りを冷蔵庫に入れ忘れたとしよう。すると、以前のシーンや動作とを比較して、パックなど対象物をレーザーで照射、人の注意を喚起する。研究者によれば、ウォッチボットは24回の実験のうち62.5%の精度で、人が忘れた動作をレーザーポインターで指摘することに成功したそうだ。

 人間に指示するというよりも、人間の行動や記憶を補助してくれるロボットと言えそうでる。

ウォッチボット3

 研究者は今後、ウォッチボットが高齢者の日常生活に大きな助けを与えるものと期待している。高齢になるとともに、人々は記憶力が落ちたり、家事で些細なミスをおかすケースが増える。英国宝くじ協会の調査によると、成人は一日に三回ほど、やるべき“何か”を忘れてしまうという。

 調査では、お茶を飲んで置き忘れることが最も多かったという。また洗濯機に洗濯物を入れ忘れたり、料理の前に冷凍庫の材料を解凍し忘れるというケースも多かったそうだ。些細なことならまだよいが、例えばガスの火を消し忘れると火災につながる場合もある。ウォッチボットは、日常の不便を解消するだけではなく、安全のために活用される見込みだ。同研究結果は、正式論文発表前にインターネットを通じて公開された。