サムスン・LG・バイロボット…韓国がドローン市場に本格参入

ロボティア編集部2016年1月19日(火曜日)

 2016年に入り、韓国の主要メーカーがドローン市場に飛び込むと見られている。最近では、サムスン電子、LG電子など国内屈指のメーカーも市場への参入を決定した。他国に比べ、韓国はドローン産業に出遅れた感が否めなかったが、ここにきて本格的な動きを見せようとしている。

 サムスン電子の無線事業部は昨年末、ドローン事業へ進出するため15人規模のタスクフォースを結成した。 そのタスクフォースの長は、副社長クラスの人物に任せられているという。それらの情報を加味すれば、サムスンがドローン事業への本格的な進出を検討していることがうかがえる。タスクフォースでは、ドローン関連各国の規制、適用技術などを集中的に調査している最中で、グローバル半導体業界との部品供給の議論もあったとされる。

 一方、LG電子のモバイルコミュニケーションズ事業本部も、ドローン市場に参入しようと、市場調査に着手していたことが確認されている。ただ、初期段階にあるので具体的な事業推進計画は発表されていない。

 サムスン電子、LG電子の両方のスマートフォン事業部がドローン市場に関心を持つ理由は、その通信技術のためである。

 現在ドローン操縦に活用されている無線通信技術は、無線LANをベースにしている。しかし、至近距離で4台以上のドローンが飛ぶと混線が起こる。そのため業界では、LTE(ロング・ターム・エボリューション)通信技術をドローンに融合させようという動きがある。特に無人宅配などサービス分野とドローンを組み合わせ大規模に“網”が構築されているLTE通信技術と融合しなければならないというのが業界関係者の説明である。

 また業界関係者は、「無線通信技術の分野で強みを持つクアルコム(Qualcomm)が、ドローンプラットフォーム“スナップドラゴンフライト(Snapdragon Flight)”を積極的に推す理由も、まさにそのためだ」と説明している。

※スナップドラゴンフライは、米クアルコムが発表したコンシューマ向けドローン最適化・開発用プラットフォームだ。58×40ミリの小型基板を採用し、プロセッサとしてQualcomm Snapdragon 801を搭載している。“Hexagon DSP”によるフライトコントロール機能やQualcomm 2x2 Wi-Fi/Bluetooth 4.0無線接続、GNSS、4Kビデオ機能なども標準でサポートしている。

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photo by bydrone HP

 韓国国内では、すでに中小企業の市場参加が活発だ。エンターテイメント用、産業用など多彩な製品群を発表されている。

 なかでも注目されるのは、国内初の超小型ドローン「ドローンファイター」を開発したメーカー・バイロボット(byrobot)だ。同社はトイドローン市場を開拓し、米国、日本、ロシアに向けた輸出にも成功している。今年のCESでは、新製品「ペットロン(PETRONE)」を披露した。ペットロンは操作なしで空中にホバリングする機能や、決められた経路に沿って飛行する自律飛行機能を備えている。不時着時に裏返った機体を原状復帰させる、「タートルターン機能」も追加されている。

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photo by Drogen (via youtube)

 ドローゲン(DROGEN)は、スポーツドローンの分野で頭角を表す企業だ。同社のロビット(lobit)シリーズは、専用のゴーグルを着用して操縦者の視点で操縦することができ、時速80㎞以上の高速飛行が可能だ。また同機は、空中連続回転などアクロバット飛行に最適化されている。地上30cmの超低空飛行でも安定性が高いとの情報もある。すでに日本にも輸出されており、今年は中国にも輸出も開始する。

 ドローゲンは今年、小型のスポーツドローン新製品を販売し、価格を20万〜30万ウォン台に引き下げる。目標は韓国で「D-スポーツ」市場を開拓すること。また、今年はドローンを中心とした複合文化空間「カフェ・ドローゲン」を改装し、製品を活用した文化事業を展開していく予定である。

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エックスドローンの機体 photo by xdrone.co.kr

エックスドローン(xdrone)は、2011年から回転翼および固定翼ドローンを開発・製造してきた企業だ。公共・産業用ドローンの納品、航空撮影事業を展開する。同社、産業用モデルXD-X8は今年、山火事監視任務に投入される。すでに、韓国建設技術研究院、国土交通省、国立山林科学院など公共機関やプロジェクトで使用された。昨年には、創造経済博覧会「未来成長動力チャレンジパレード」の際には、ドローン映像のリアルタイム伝送技術を披露して注目を浴びた。

一方、ヒュインス(huins)は、20年以上の組み込みシステム(embedded solutions)事業に集中してきたが、昨年初めてドローン市場に進出した。撮影用、産業用ドローンが主力製品となる。同社ブルーアイシリーズ(ページ下部動画)は、超小型製品から産業専用機まで幅広いラインナップを備えており、150万(約16万円)台のブルーアイ1Kは2ヶ月で100台を売り上げた。今後、農薬散布、物資輸送、産業現場管制用など、商業用ドローン販売に注力する計画である。

(ロボティア編集部)