DJIがドローンを活用した仮想観光システムの特許を出願

ロボティア編集部2016年9月3日(土曜日)

 DJIは最近、「ドローンを活用した仮想観光システムと方法(System and Method for Enabling Virtual Sightseeing Using Unmanned Aerial Vehicles公開番号:US20160035224)」という特許を出願した。AR・VRを利用した仮想観光技術で、その実現のためにドローンが使用される。

 仮想観光技術はドローンが収集した情報をもとに、時間および場所の制約なく、実際に旅行しているような体験をユーザーに提供する。

 仮想観光技術を実現するには、物理的空間のすべての特徴を検出する必要がある。固定カメラや衛星から取得するイメージは断片的で、解像度が限られている。特許の肝としては、そこでドローンを使って情報検出を実現するというものだ。

ドローン_仮想観光システム_DJI2
photo by USPTO

 ドローンは、事前に設定された場所や経路を飛行し、搭載されたセンサーとカメラを通じて必要な情報を収集する。画像情報以外にも、音、温度、湿度、雨量、風速など、周囲の環境情報を取得。ユーザーの視覚だけではく、聴覚、嗅覚、触覚などにもアプローチする4次元サービスを可能にする。

 集められた情報は、仮想観光システムにリアルタイム伝送される。ユーザーは、それらの情報が反映されたVRルーム、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、スーツなどを通じて、仮想観光を楽しむことができる仕組みだ。

 運営システム側ではドローンを制御し、監視する。自動データ収集システムは、60台のドローンで構成される。ドローンの飛行時間は30分で、時速は50km。半径12.5kmでデータ収集に努め、飛行タスクが終わると地上ステーションに戻り本体を充電する。

 データを収集し、それをデジタル情報として他の端末やテクノロージーで応用できるというのが、ロボット全般の特徴だ。なかでも、空から情報を習得できるというドローンの強みは、今後さまざまな商品開発、社会的課題の解決に役立てられると見られている。今回、最大手メーカーであるDJIが提出した仮想観光システムは、そんなドローンの“武器”を活かす先鋭的な試みになるかもしれない。