台湾南部の台南で地震が発生してから3日目の2月8日、奇跡のような生還が相次いでいる。倒壊したビルの様子を撮影したドローン動画もアップされ、改めて人々の注目を集めている。
AFP通信などによると、100人余りが行方不明になった17階建ての建物・維冠金龍ビルの残骸の中から、60時間後に、8歳の少女と28歳の女性が救助されるなど、日中に4人の生存者が追加で確認された。
救助隊はこれに先立ち、20時間以上の救助活動の末に40歳男性を救出することにも成功した。
8日午前に救助された生存者チャオ・ウェイリング(45・女性)氏は現在、安定状態に入ったそうだが、彼女の夫と2歳の息子はともに死亡したことが確認されている。
きたる5月に就任する蔡英文(さい・えいぶん)次期総統は、30人の犠牲者を出した惨劇を省みて、新政府が発足後には、建物の安全規制の強化を優先的に追求すると明らかにした。蔡次期総統は地震の生存者が入院している病院を訪問した後、「台湾全域に古い建物が多い」とし「耐震状態をはじめ、災害の全体的な安全の状況を再検討する」と述べた。
台湾工学協会のマックス・ロー元代表は、「建物の構造重量を減らすために、缶やスポンジなどが使用された可能性があり、「1階をショッピングモールとして使用するために、建物を支える壁を取り外した可能性もある」と指摘している。
馬英九(ば・えいきゅう)総統は「最後の瞬間まで救助作業を継続する」とし「72時間がデットラインと言われているが、例外があるかもしれない」と希望を持って調査を続ける意志を明らかにしている。
一方、今回の地震で悽惨に崩壊した複合建物の手抜き工事の事実も次々に明らかになっている。耐震設計が全く行われておらず、建物耐力壁の柱の中から廃食油缶も発見された。この建物は1999年の台湾大地震当時、大きく破損しそのリスクを指摘されたが、そのまま放置されてきたことが分かり警察が捜査に乗り出した。