市場調査会社IDC「2019年には世界ロボット市場が15兆円規模に」

ロボティア編集部2016年3月4日(金曜日)

 グローバル市場調査会社IDCは、2015年に710億ドル(約8兆800億円)となった世界ロボット関連市場規模が今後、年平均で17%ずつ成長し、2019年にはが1354億ドル(約15兆4000億円)に達すると予測した。

 IDCは、昨年10月にIot、認知システム、次世代セキュリティ技術、仮想および拡張現実(VR、AR)、3Dプリンティング、ロボティクス分野を「イノベーションを牽引する6大技術」に選出している。IDCは最近また、それらの内容を盛り込んだ報告書「世界商業用ロボット支出ガイド(Worldwide Commercial Robotics Spending Guide)」を発表している。

 同報告書を作成したIDCのアナリスト、ジン・ビン・チャン(Jing Bing Zhang)博士は「ロボティクスが、製造業における核心的変化を実現するための重要な技術として浮上した。これまで、自動車産業の分野で主に使用されてきたが、現在は電子、小売、ヘルスケア、流通、農業、サービス、教育、公共分野においても導入が増えている」と述べている。また、ロボット技術の導入が進んでいる要因としては、人件費の上昇、熟練労働力の不足、ロボットシステムの価格下落、国家戦略的次元での取り組みなどを挙げた。

 同報告書によれば、ロボット市場が産業用ロボットによって牽引されていることも明らかになった。 2015年現在、ロボットの支出規模320億ドルのうち、個別生産製造分野(ディスクリート製造=discrete manufacturing)とプロセス製造分野がそれぞれ33.2%と30.2%となり、全体のうち60%以上を占めた。

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 IDCは、2019年までに、プロセス製造とヘルスケア部門のロボット導入が2倍近くに増加すると予想している。また、ロボットシステム市場は2019年に320億ドルに成長するとも予想。加えて、アプリケーション管理、教育訓練、ハードウェアのインストール、システム統合、コンサルティングなどサービス関連市場が、そのロボットシステム市場の成長を上回るとしており、ハードウェア(サーバとストレージ)、ソフトウェア(コマンドおよび操作、ネットワークインフラストラクチャ、ロボットアプリケーションなど)分野も、サービス市場と同様に急速に成長するだろうと分析している。

 2015年現在、地域別の普及状況をみると、日本などアジア太平洋地域の売上高が全体の65%を占めており、その後、EMMA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)、南北アメリカ地域が続いており、2019年までにはアジア太平洋地域のそれが倍以上に成長すると予想されている。

 IDCリサーチマネージャー、ジョン・サンタゲート(John Santagate)氏は、「ロボット分野が転換点に到達した」との分析を示した。

 一方、IDCは2016年のスマートフォン出荷台数が前年比5.7%増の15億台にとどまり、今後はさらに伸び率が”鈍化”すると予測している。なお、2015年のスマートフォン出荷台数の伸びは10.4%増だが、IDCは昨年が最後の2桁成長になる可能性が高いと指摘している。

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