2体のロボットがペアとなり「子どもロボット」を誕生させるという、驚きの技術が開発された。欧米各メディアの報道によれば、ロボットの“DNA”を交換、組み合わせ、子どもロボットに譲る技術を、オランダのアムステルダム自由大学(Vrije Universiteit Amsterdam)の研究グループが開発したという。
「ロボットベイビープロジェクト(Robot Baby Project)」と名付けられた同研究では、親ロボットは自分に適したペアを見つけることができる環境に置かれる。次いで、ロボット同士が出会い、相手を良いと評価した場合、Wi-Fiネットワーク通じてゲノム情報を互いに転送し合う。その後、そこで新たに結合された“遺伝情報”が3Dプリンターに送信され、新しいロボットが作られるという。
いわゆる有性生殖(2つの個体間あるいは細胞間で全ゲノムに及ぶDNAの交換を行うことにより、両親とは異なる遺伝子型個体を生産すること)と同じ原理で、新しい機体を誕生させるというものだ。親ロボットの特性は、子どもロボットのソフトウェアとハードウェアに、無作為に組みこまれる。先月26日、研究者チームはオランダ・ユトレヒトで開催された移動式テクノロジー見本市「キャンパスパーティー(campus-party)」で、最初に作られた子どもロボットと、ロボットの交配原理を明らかにした。
ロボットベイビープロジェクトのホームページには、さらにユニークな話題も。ロボットが生活する研究所には、ロボット出産クリニックや子どもロボット保育園もある。子どもロボットは生まれた後、必ず教育課程を経なければならないのだとか。ロボットたちは、与えられた環境で、動き、学び、働き、出会い、そして自分の“遺伝子”を受け次ぐ子どもロボットを再生産する。
研究者たちは、ロボットが交配・再生産を重ねれば、深海や他の惑星など、人間にとって危険な環境に適合するよう進化すると予想している。環境に適した頭脳、身体、行動などを継続して実験することで、有用な特性を次世代のロボットに伝達していくというのだ。
アムステルダム自由大学のグスーチ・アイベン(Guszti Eiben)教授は、「この技術は、ロボット、人工知能、宇宙研究、生物学などに新たな視点を開いてくれる(中略)人工進化が、コンピュータの世界から現実の世界に出てくることを意味する」と、研究の意義についてコメントしている。