世界最高の起業家イーロン・マスク氏が無人自動車時代到来を示唆

ロボティア編集部2015年9月8日(火曜日)

世界最高の起業家と名高いイーロン・マスク氏が、無人自動車時代の到来を示唆した。

「無人自動車はこれから現実になるでしょう。来年テスラの自動車は90%程度を自動で走行することになります。高速道路を含め、走行距離全体の90%を自動的に運行することになるという意味です」

イーロン・マスク氏は、2014年10月2日、CNNマネーとのインタビューで無人自動車時代の到来を2015年と予言した。ただし、具体的な無人自動車技術の発展方向や計画を説明したわけではない。現在、無人自動車業界でよく取り上げられるセンサー技術の一覧を提示するにとどまった。イーロン・マスク氏は、「カメラと長距離超音波、レーダーを通じた映像認識など、様々なセンサー技術を融合することになるだろう」と話した。

他の自動車メーカーと技術ベンダーは、無人自動車時代の到来を3年から5年後とみている。米自動車メーカー・ジェネラルモーターズ(GM)は、早ければ2017年に発売予定のキャデラックに半自動の無人走行技術を搭載する予定である。GMはこれを「スーパークルーズ」技術と呼んでいる。自動車と自動車が互いに通信し、走行中に遭遇する危険に能動的に対処できる技術である。ここで言う、完全な意味で自動走行とは多少隔たりがある。

ボルボは2017年までに、スウェーデンの道路で無人車100台を走れるようにするプロジェクトを進めている。英国政府は、2015年1月から無人自動車試験走行を可能にしただけでそれ以外に目立った動きはない。IT企業の中で無人車研究をリードしているGoogleも、イーロン・マスクCEOの発言とは距離が遠い。2012年に米国ネバダ州で実施した無人走行実験は、完全な自動走行技術が完成されるまでに長い時間が必要であることを証明した。天候や突然の道路状況の変化に技術が効果的に対処していなかったためだ。

このような状況下で、イーロン・マスクCEOはテスラ・モーターズが無人自動車市場のリーダーになると確信している。CNNマネーとの短いインタビューは「シリコンバレーのテスラが先頭になれなければ恥ずかしいこと」という言葉で締めくくられた。これは、無人自動車市場において自動車技術よりIT技術がより重要なものであることを強調した発言とみられる。

なお、これまで自動車技術を牽引してきた世界の自動車企業たちも、続々と無人自動車開発に名乗りを挙げている。2015年1月9日には、メルセデス・ベンツがコンセプトカー「F 015 ラグジュアリー・イン・モーション」を、米ラスベガスで国際家電見本市(CES)2015で披露した。洗練され、かつ未来を暗示するF015は、来場者に賞賛を浴びたと言われている。日本のトヨタも、今年9月7日(日)に米国ミシガン州で開催された「第21回ITS世界会議デトロイト2014」(以下、ITS世界会議)に先立ち、安全運転支援に向けた自動運転技術の開発進捗状況を公表している。9月4日には、米MITのコンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL)および米スタンフォード大学のスタンフォード人工知能研究所(SAIL)と、AI研究で連携するとしている。

自動車産業とIT産業が距離を縮めその境界線が曖昧になりつつある未来に向け、テスラ社のイーロン・マスクCEOが滲ます自信がどこまで実現するか注目したい。