米国道路交通安全局「人工知能も”ドライバー”と見ることができる」

ロボティア編集部2016年2月13日(土曜日)

 自動走行車を運転する人工知能(AI)を、人間と同じく、連邦法に規定された「ドライバー」として見ることができるという見解を、米交通当局が示した。米メディアなどは、運転席に人がいない自動走行車が、実際に路上を走る日が近づいたと評価している。

 最近、米国道路交通安全局(NHTSA)はGoogleに送った書簡に「NHTSAは、Googleが説明した“運転者”を人間のドライバーではなく、自律走行システムと解釈する(中略)このグーグルの自動走行車には、過去100年間、自動車にあった伝統的な概念である“運転者”がいないということに同意する」と言及した。

 この書簡はGoogleが昨年11月に、NHTSAに対して、自社の自動走行車が連邦法における車両安全規定に適合するか質問した文書に対する回答であり、今月4日、NHTSAのホームページに掲載された。

 NHTSA最高顧問のポール・ヘンマースバウ(Paul Hemmersbaugh)氏は、書簡で「人間のドライバーが車両を運転していない場合、実際に運転している「何か」を「ドライバー」と規定することがより合理的である」とし「Googleの場合には、自律走行システムが実際に車を運転している」と述べた。

 また「すべての車両には、運転者席が必要であるという規定に、自動走行車も従わなければならないか」というGoogleの質問に対して、NHTSAは「必要ない」と答えた。

 NHTSAの判断が、自動運転者の商用化にすぐに影響を与えるか否かについては、予断は避けなければならないだろう。ただ、米交通当局が前向きな解釈を出したという点で、非常に重要な契機になることは間違いない。

 これまでGoogleをはじめとする自動走行車開発企業は、従来の自動車のコンセプトに基づいた米国の連邦法や州法が、テストや商用化を妨げていると不満を募らせてきた。

NHTSA
photo by NHTSA

 NHTSAは、書簡で「足で操作するブレーキシステムを備えなければならないなど、現行の自動車安全基準がすぐになくなるわけではないだろうと付け加えながらも、「Googleの自律走行車が、人間のドライバーが運転する車両に合わせて作られた規定をどのように満たすかが次の焦点」とも言及している。

 今後、自律走行システムを運転の主体と認めるとして、事故など際に法的な責任を誰が負うのかという問題もある。日本の関係者のひとりは「現在、日本では製造物責任法など、メーカー側の責任とする形で議論が進む兆しがある」としている。実際、事故の際はその責任をメーカーが負うと明言している海外大手メーカーもある。

 米国運輸省は先月、自動走行車の商用化のために、今後10年間で40億ドル(約4500億円)の予算を投入して、関連法の改正に乗り出すと明らかにするなど、自国企業の自動走行車の開発を積極的に支援している。

photo by Google