米国首都ワシントンD.C.で、配達用ロボットを運行可能にするための条例案が推進されるという。日刊紙ワシントンポスト(WP)など海外メディアが23日に報じた。
ワシントン市議員のメアリー・チェ(Mary Cheh)氏はこの日、配達用ロボット製作会社「スターシップ・テクノロジーズ(starship technologies)」と協議し、配達用ロボットが、街の歩道を運行できるようにする条例案を提出した。
同ロボットは、ボックス型の機体に車輪が6個装着されており、車道ではなく、歩道を最大時速6kmのゆっくりとした速度で歩行者とともに通行する。会社側の説明では、近くの食料品店や店舗などから、地域の消費者に商品を配達する際に使うことができるという。
同ロボットはまた、普段は地図を利用した自律走行が基本となるが、もし問題が発生した際には人間がリモートコントロールで操縦することもできる。
なおスターシップ・テクノロジーズは、一度の配達に1〜3ドルの手数料を受け取とるビジネスモデルとなることを期待しているそうだ。
チェ市議はこの日、同ロボットと関連した3ページにわたる条例案を、ナーシャ・スミス(Nyasha Smith)市議会事務局長のオフィスに送った。続いてロボットが事務局室内に立ち入った際には、スターシップ・テクノロジーズの従業員がビデオゲームコントローラを持って操縦。市議会事務局スタッフに渡した。
この様子を見守っていたチェ市議は「ロボット配達です!」と声をかけたそうだ。スミス事務局長は、提出された条例案を検討した後、書類に受付確認印を押したという。
スターシップ・テクノロジーズは、エストニアと英・ロンドンに開発チームを置いたロボット製作会社だ。スカイプの共同創立者であるアーティ・ヘインラ(Arti Heinla)氏とヤヌス・フリース(Janus Friis)氏が設立した。
最高執行責任者(COO)アラン・マーティンソン(Allan Martinson)氏は、同ロボットが、先月から英・ロンドンとエストニア・タリンの一部の地域ですでに運行中であり、また米南部と西海岸地域のいくつかの都市で、きたる4〜5月から運行されると説明している。なお、マーティンソン氏は、この配達用ロボットスタートアップ企業と働くことを決意するまでに、6000にもおよぶ企業と個人投資家と会ったという逸話もある。
現在、ワシントンD.C.では、緊急時に備え運転者が同乗している場合、自動走行車の運行が可能となっている。一方、配達用ロボットの運行を可能にする条例はまだない。
チェ市議の条例案が市議会で可決・施行されれば、最大時速10マイル(16 km)以下、最大重量50ポンド(22.7 kg)以下の配達用ロボットが、ワシントンD.C.の歩道を走ることができるようになる。ちなみに、同配達用ロボットの名前はまだなく、検討中ということのようだ。